毎回この手の質問を見る度に、解答として「ビールやワインにはホットもありますよ」というものが多く見られますが、個人的には「あるかないかの0と1の話じゃなく、頻度が問題となってる質問じゃないのかな?」と思っています。日本でいう常温とヨーロッパの常温は異なる温度であることや、日本酒を燗酒として飲むという国内の一般的な認知度に比べたらホットワインはかなりマイナーな部類であるという点などがこの手の質問の論点になるのではないかと個人的には思っています。
で、実際、日本酒を温めて飲む文化というのは理由が確定している訳ではないのですが、醸造酒の中でも日本酒は他の醸造酒に比べて「酸の種類の中で旨味成分とされている酸が多く、その他の酸が余り多くない」という特徴があり、また他の醸造酒に比べてやや甘味が強い事から「温めて飲んでも酸が突出せず(温めると酸が強くなるのではなく他の味が弱めになるので酸味が分かりやすくなるので)甘味も強い為、丸い味になりやすい」ことから、単に温度を上げただけでも味わいが変化する上に飲みにくい味にもなりにくいという本質的な部分があります。これが、温める事を念頭に作ってない一般的なワインやビールですとワインは酸の量が桁違いに多いので酸味だけが強く感じられてしまうことと、ビールは苦味が薄くなり炭酸も感じにくくなるので、そのもの単体としての魅力は薄くなってしまうと感じることの方が多くなるかと思います。(実際、やれば分かりますが一般的に売ってる赤ワインや国産のビールをただ温めて飲むとなかなかキツイものです)
そして、ウイスキーも冷やして飲みますが、元々に度数が高い酒というのはただ温めるだけだとアルコールの揮発が強すぎて物凄く飲みにくくなるのと、余り味が強くない為香りが重要になる酒なのにアルコールの揮発で香りも感じにくくなる為、そのまま温めるということが一般的ではないのだと思います。ただ、これは正直に言えば焼酎のお湯割りの様に度数をかなり低く薄めて他のもので味を付けて飲むのであれば飲めない訳ではないと思います。