眼内レンズの目標設定値=リフラクティブエラーは
一般的に
遠視・正視 の場合
目標度数は -0.5Dの軽度近視 にすることが多いです。
眼内レンズ=その距離でしかピントが合わない
のではなく、
「明視域」があるので 理論値よりもその前後でも「ある程度は」見えます。
瞳孔径による影響も大きいです。
カメラで言えば 絞りを絞る→被写界深度が深くなる=ピントの合う幅が大きくなる、
高齢者は一般的に瞳孔径は小さくなり、ほとんどピンポイントになっちゃっている場合も多いので、ピントに合う幅が大きくなります。
高齢者は遠見をはっきり見る必要もないし、
近見の本当に細かい作業をすることもない
室内での生活が多い
と考えるので、
-0.5Dだと
テレビも普通に見える
新聞の大きめの字だと日中の明るい時間だと読める
と言う事を狙います。
もちろん、乱視や角膜・網膜の病気・年齢的な眼自体の老化・劣化による視力不良は考慮に入れない理論値です。
あとはDrの考え方、患者さんの生活・仕事・趣味・年齢的になどによってケースバイケースになります。
近視の方は一般的に近視を残して設定します。
近視の方は遠近両用メガネをかけていても、細かい字の本やスマホを見る時には、メガネを外してみる癖の方が多いので30cm位でピントが合うと違和感がありません。
よって-3Dなら同じ-3Dが普通です。
いきなり遠見に合わせると、遠くは見えるが裸眼で近くが全然見えないと、今までの感覚と逆転するので、自分で考えて遠見に合わせた場合でも術後不満を訴える人は多いです。
-5D以上の強度近視なら今までもっと近づいて見ていた経験があるので、もうちょっと強めの-4D位が多いですが、手術してみると目標度数より比較的-が強くなる方にズレる傾向があります。
多少の乱視は切開方法で軽減できますが、乱視用のレンズもありますのである程度乱視は改善されます。
多焦点レンズは色々な種類がありますが、遠近両用メガネ・遠近両用コンタクトと同じように、すぐに慣れて問題なく使える方も多いですが、なかなか慣れることが出来なくてにじんだ見え方に悩む方も稀にいます。 ご心配な方は普通の単焦点レンズを入れて遠近両用メガネ・コンタクトを追加で使用するというのも推奨されます。 極端な話、一度入れた単焦点を取り出して単焦点に交換する方もごく稀にいます。その場合まず片眼のみ試してみると大丈夫なこともあるようです。
同じような構造の遠近両用コンタクトがありますので、白内障術前に試してみることもできるかも知れません。
自分は普段遠近両用コンタクトを使用していますが、昔使い初めの時はすごくにじむ感じで不快感を感じましたがそのうち慣れてきちゃったので現在では全く問題なく使えています。
多焦点レンズの種類・値段については主治医とよく相談してみて下さい。