大前提として知っておくべき知識として、
「鉄は基本的に2価か3価が安定である(厳密には、Fe³⁺の方が安定ですが、Fe²⁺が不安定という訳ではない)」
ということです。
電子配置から言って1価の鉄イオンというのは安定的に存在しません。
これはもう現実世界で研究により分かっている事実ですからひっくり返しようがありません。あなたがどれだけ「Fe⁺になるんだ!!ぼくはそう思うんだ!!!」って叫んだところで、研究者からしたら「じゃあその酸化状態になっていることを正しく実験・研究して論文書いて証明して」って言われるだけです。証明出来ないことをいくら抗弁垂れようが、世の中の科学者は信じてくれませんよ。
鉄というのは単体の状態から酸化されると、まずはFe²⁺の状態に落ち着き、
さらに酸化されるような条件(空気に触れさせておくだけで充分)があれば、Fe³⁺の状態に落ち着くんです。
今回の場合、Ag⁺を含む水溶液に突っ込んだ「鉄」は単体の状態ですよね。
これがイオンになって溶け出す時、酸化数+1のFe⁺になるのでも、一気に酸化数+3のFe³⁺まで行くのでもなく、酸化数+2のFe²⁺となった段階で溶けます。
ゆえに、Fe→Fe²⁺となり、放出された2e⁻を受け取るために、一価のAg⁺は2つ必要になるのです。