興味深いご質問です。 まず、都市というのは一般に、地区によって「民度」というか、住民の質に差ができるものです。都市の人口規模が10万人くらいになると、その差はある程度明瞭になってきます。 代表的なのは、東京の「山手」と「下町」です。 実は、名古屋もこれと類似の構造です。 東京の「山手」というのは、地形的に言うと武蔵野台地で、「下町」は沖積地です。台地のほうが地盤がしっかりしていて湿気が少なく、地震の被害や水害に相対的にあいにくいわけですが、ゆえに昔から住宅地としては人気で、結果として権力者とか富裕層が集まって住む傾向が強いわけです。 名古屋の場合も、大雑把にいうと東部が台地や丘陵地で、西部が沖積平野ですね。 大阪などは、たぶんあなたが思うよりもっと悲惨ですよ。大阪の場合、「山手」にあたる部分が大阪市内にはほとんど無く、ずっと周辺の方の市とか府外の兵庫や奈良などに富裕層が住んでいます。大阪市内や隣接する市は、いわゆる「インナーエリア」にあたり、かつては工場が立ち並んで景気が良かった時期は活気があったでしょうが、大阪はずっと経済が（東京や名古屋にくらべ相対的に）落ち込んでいますので。 私は大阪のそういう街で生まれ育ったのですけど、私も嫌でしたね。でも、従兄妹のなかには、その街が一番良いところだ、くらいに思っている者もいます。 あなたは、ご質問のように思うことで、自己嫌悪に陥る必要はないですよ。世の中の一面を知ったわけです。つまり、（大雑把な区分ですが）二つの「社会」の存在を知ったわけですね。これ、同級生には知らないままの人もいるということでしょ？ 二つを知ったことで、大人になるったとき、自分がどっちの社会で生きていくのかを選ぶこともできますね。 ただし、どちらが良いのか、どんな街なら良いのかというのは、なかなか一概には言えないものです。私は、ほどよく混じっている状態が良いのだと思いますけどね。 あまりにヤンキーばかり多くても、たとえば公立の小学校や中学校の質が担保されにくくなります。学級崩壊がおきても元凶であるヤンキーの親は無関心、ほとんどの子はお勉強に関心を示さない・・・では、悲惨です。 一方で、富裕で子の教育にやたら関心が高いような家庭が集まりすぎても、これまた近所や同級生どうしで成績・進学の競い合いが過熱し、そこからモンペが発生したり、いろいろ精神的に窮屈な環境ができあがってしまいそうです。 せっかくですから、今回のような疑問を勉学につなげてみても良いのでは？ たとえば都市社会学という学問分野ではこうしたテーマを研究しています。 橋本健二『階級都市ー格差が街を侵食する』ちくま新書（2011年）なんかは読みやすいと思いますので、興味があれば。