ここから本文です

ネットで時々アメリカ合衆国と言う名前、これは外務省のアホによる誤訳で、意訳と...

cat********さん

2018/7/521:02:40

ネットで時々アメリカ合衆国と言う名前、これは外務省のアホによる誤訳で、意訳としては「合州国」で、正確には「アメリカ諸州連合」や「アメリカ合州国」だと言う話がありますが、池上彰さんの

本の中に「合衆国とは共和国と言う意味だ。」とあったのですが本当なのですか?

閲覧数:
71
回答数:
2

違反報告

ベストアンサーに選ばれた回答

cel********さん

2018/7/618:05:02

「合衆国」と訳されたのはどういう“心”か、という主旨のご質問、と理解します。

結論から言えば、『「US漢号」覚書:「合衆国」考』(宮澤俊雅・北海道大学文学研究科紀要109巻・2003年2月所収)にある

~~

恐らく、「合衆国」の語は、望厦条約の際にUnited Statesの漢号として初めて採用されたものである。従って「合衆」はunitedの訳語であり、「複数のものを合わせて一つにする」という意味の語である。世に、「合衆」には「多くの人が集まって一つの事をする」という意味しか無いと決めつけ、「合衆国」を誤訳扱いする言舌が多いが、ここではそのような考え方は採るべきではない。

~~

(同論文P106からの引用)という説明が正しい、と思います。

全文は↓で読めます。
http://hdl.handle.net/2115/34040

ポイントは、『「合衆」には「多くの人が集まって一つの事をする」という意味しか無いと決めつけ』ちゃイカン、って言う事点にあります。

『池上彰さんの本の中に「合衆国とは共和国と言う意味だ。」』とあるそうですが、読んでないし、書名も書かれていないので確認も出来ないので『絶対に』とは言いませんが、想像するに↑の論文で批判対象になっている斎藤毅の説に基いているのではないか、と思います。

斎藤毅の説は、『明治のことば』(講談社・1977年。講談社学術文庫では2005年)という本に載っているものが有名です。斎藤毅はその本の1977年の版のP177で、


~~

「合衆」という語と「共和」という語が、ともに衆人が力を合わせ共同して事業を営むことを意味している以上、「共和」が「合衆」に移行するには、何の不自然もなかった。

~~

と言っており、これは簡単に言えば『共和(国)だから合衆(国)と訳されたのだ』という事ですから、池上彰の言っている事と同じです。

つまり、池上彰が採用した説は間違い、と私は考えている、という事です。

根拠を挙げておきます。

衆というと、現代の日本語では、例えばデジタル大辞泉の解説に…

~~

しゅう【衆】

[名]
1 多くの人。大ぜいの人。衆人。「衆に先んずる」
2 人数の多いこと。集団。「衆を頼んで事を起こす」⇔寡(か)。
3 ある集団を形づくる人々。しゅ。「若い衆」「近在の衆」
4 「所(ところ)の衆」の略。
[接尾]人を表す名詞に付いて、複数の人を尊敬や親愛の意を込めて言い表す。古くは単数の人にも用いた。しゅ。「旦那衆」「観客衆」

~~

とあるように「複数の人」という意味です。
が、江戸時代以前の文書を読んだ経験がある程度あれば、「人間」には限られない意味で使われていた事は気づく事です。

実際、↓で見られるデイリーコンサイス中日辞典で“衆”を引くと

https://dictionary.goo.ne.jp/cj/


(1) 多い(【反】寡)
(2) 大勢の人

と言う二つの意味があるように、現代の中国語では今でもそうです。

国立国会図書館デジタルコレクションで見られる新漢和辞典の↓のページにも、

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/902806/417

意味として
一、数多きこと
二、三日以上、雨の続くこと。ながあめ。
三、県の名、草の名。
四、もろもろのひと。多くの人。

とされていて、熟語の中にも「衆艇=おほくのこぶね」というものが載っています。

日本人がthe United States of AmericaのUnited Statesを合衆国と訳し始めたのは、幕末からでしょう。↑の『「US漢号」覚書』では嘉永年間からで、黒船で有名なペリーが持ってきた大統領親書の中国語訳文でも既に合衆国という用語が使われていたそうです。(同論文P106~111)

幕末の日本人は、現代の日本人よりも遥かに漢文&漢字の知識が豊富で、現代人のように『“衆”と言ったら、人間しか思いつかない』ってな事はなかったはずです。
ですから、少なくとも、衆が人間を意味する可能性と、衆が“多い”という意味である可能性の両方を想定する必要があるは間違いないでしょう。

そうすると、ネット上の情報によれば、明治初期の和英辞典である『和英語林集成』第3版(1886年)には、

GASSHU ガツシウ 合衆 United; confederated: ―koku, United States; ―to, federal or republican party.

とあるそうですが、私自身は確認できていません。

が、国立国会図書館デジタルコレクションで見られる英和和英字彙大全(市川義夫編訳・如雲閣・1885年4月)には(↓。但しhttpは省略。以下同様)、unitedの説明として、

://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1939291/354

~~

a,結合したる、連合したる、一致したる、混合したる、United strength,協力; United Kingdom、合衆王国(英倫、蘇格蘭、愛倫); United States,合衆国

~~

という解説が載っています。

この説明からは、衆を「人間」ではなく漢字の元々の意味である「多くの」という意味で、「united=合衆」と理解されていた、と考えるしかありません。英倫=イングランド、蘇格蘭=スコットランド、愛倫=アイルランドを合わせて、「United Kingdom=合衆王国」としているのは、United Statesだけを(共和制だから)合衆国と訳したのではなく、United=(複数のものが集まる)合衆、という概念の存在を明確に示しています。既にご紹介した論文によれば、池上彰の元ネタ(だろうと私が推測している)斎藤毅は「元来は共和国という意味の合衆国だったのが、一時期日本で“国が集まった”という意味に誤用された」と主張しているようですが、「そりゃぁ、話が逆だろ??」って思いますね。まして、中国で最初に合衆国と訳されたと考えるならば(斎藤毅もそれは認めている)、国立国会図書館デジタルコレクションで見られる英華字典(W.Lobsheid著・1883年)のunitedの説明の中(↓)に、「the United States,合国,合衆国」とあるのはどう説明するのか、って事になります。(United Statesを“国が集まったもの”と中国語では理解されていたとしか思えません)

://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994614/569

…という訳で、『池上彰さんの本』が採用した「合衆国とは共和国と言う意味」という説は間違い、と私は思いますね。『「US漢号」覚書』という論文には、「論拠の無い誤認」、「矛盾」、「時代錯誤」、「無謀」、「無知」、「破綻」とかボロンケチョンに書いてあります。その批判が正しいかどうかは私にはわかりませんが、この論文によれば、「合衆国とは共和国と言う意味」という説には他の学者からも批判は少なくないようです。

なお、(合衆国は)これは外務省のアホによる誤訳で、意訳としては「合州国」で、正確には「アメリカ諸州連合」や「アメリカ合州国」だと言う話は、いきなり入り口から「日本が米国を強く意識したのは幕末なんだから、“外務省のアホによる誤訳”とか言う前に、まず幕末にどう訳されていたかぐらいは調べろよ。他人をアホ呼ばわりする前にそれぐらいしたらどうだ??」とは思います。(実際には、中国からの輸入のようですが、そこまで調べろとは言いませんけどね…)

例えば、国立公文書館アジア歴史資料センターレファレンスコードB13080024600の1/95では、幕府の老中堀田正睦他が安政五年五月二日に出した「日米修好通商条約は直ぐには無理だ」という主旨の書状が見られますが、「亜墨利加合衆国全権兼コンシユルセネラールトウンセントハルリス」と呼びかけています。

佐藤優の「戦後、日本の外務官僚は、国際連合があたかも公平公正な機関であると見せかけようとして、連合国と異なる意訳をあえてしたのだと筆者は見ている」と同様に、「外務省が悪いと決め付ければ、世間では“そうだ、そうだ”と思ってくれる人もいる」とか思い込んでいるんですかね…。(確かにそういうヤカラも少なくないですが)、アホはどっちかねぇ…、って思いますね。

それから、the United Statesのstateは、一般的には「国」を意味する言葉で、(私の知る限りでは)米国とオーストラリアに限って州と訳しています。そして、the United States of Americaが出来た時点のstateは、植民地ではあってもそれぞれが単独で国に近い自治権を持っていました。(今も、かなりの程度維持しています。)ですから、the United Statesを「合州国」とか「アメリカ諸州連邦」と訳すのは、”名前が決まった時点”の主旨からすれば『明らかな誤訳』でしょう。合衆国の合衆とは(人間の衆が集まる事ではなく)「複数の国が集まる事」という意味、という点を理解した上であれば、「合州国」よりも「合衆国」の方が間違いなく正しい訳ですが、別の訳としては、アメリカ連邦とか、アメリカ国家連合とかが考えられます。
現在も、米国の各stateに州という言葉が本当にぴったりくるか、というと結構疑問ではあります。



いずれにせよ、

the United States of Americaは正確には「アメリカ諸州連合」や「アメリカ合州国」だ

も、

合衆国とは共和国と言う意味だ。

もどっちもホントじゃなくて、ホントは「合衆」=複数のものが集まる、という意味で、国が集まったから合衆国、と言う説が正しい、と思います。

  • cel********さん

    2018/7/619:47:23

    ところで、別のご質問で私が回答を用意している内に締め切られたものがあり、こちらをお借りします。

    「第二次世界大戦の際に三国同盟に加わった国の中に1941年11月にデンマークが加わっています」と仰っていましたが、ひょっとしてウィキペディアの日独伊三国同盟の項目の記載から、そう思われたのでしょうか?

    昭和16年11月25日付けで、デンマークは、ブルガリアやフィンランドなどと共に防共協定に参加したのなら事実です。(アジ歴レファレンスコードB13090857800『第二編 日本国ト枢軸諸国トノ条約関係/第三 防共関係』の32/34)

    しかし、この資料で日独伊三国同盟は『第二編 日本国ト枢軸諸国トノ条約関係/第一 政治関係』(レファレンスコードB13090857500)でカバーされていますが(ご自身で確認して頂ければわかりますが)ハンガリー、ルーマニア、スロヴァキア、ブルガリア、クロアチアについては議定書が載っていますが、デンマークは出て来ていません。

  • その他の返信(1件)を表示

返信を取り消しますが
よろしいですか?

  • 取り消す
  • キャンセル

質問した人からのコメント

2018/7/7 21:48:36

やはり複数の国が集まった「合衆国」が一番しっくり来ますね。

回答ありがとうございました!!

ベストアンサー以外の回答

1〜1件/1件中

kit********さん

2018/7/521:08:44

英語の直訳では「合州国」ですよね

みんなで作る知恵袋 悩みや疑問、なんでも気軽にきいちゃおう!

Q&Aをキーワードで検索:

Yahoo! JAPANは、回答に記載された内容の信ぴょう性、正確性を保証しておりません。
お客様自身の責任と判断で、ご利用ください。
本文はここまでです このページの先頭へ

「追加する」ボタンを押してください。

閉じる

※知恵コレクションに追加された質問は選択されたID/ニックネームのMy知恵袋で確認できます。

不適切な投稿でないことを報告しました。

閉じる