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一番味わい深かった思想書って何ですか?

huj********さん

2019/2/801:38:19

一番味わい深かった思想書って何ですか?

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ベストアンサーに選ばれた回答

nan********さん

2019/2/810:08:28

私は学生時分の専攻分野が政治学だったので、思想書となると政治思想書になってしまうのですが、味わい深いとなるとジュゼッペ・マッツィーニの「人間の義務について」(岩波書店)が真っ先に浮かびます。

私はこの本を大学に通っていた頃(確か3年の終わり頃)に最初に手にしました。小さな文庫ですので邪魔にならないだろうと通学の電車内で一読しました。その時は正直な所、「余りピンと来なかった」というのが正直な感想でした。
と言うのも、決して「分かり易い本」ではなかったからです。政治思想書にはよくありますが、用語の扱い方や話の導入の仕方は中々に独特で難解です。そもそもマッツィーニは19世紀のイタリア人ですから、現代の東洋に暮らす吾々には縁の遠い存在だと言えます。

しかし、不思議な事に一読してからと言うもの、この本や作者のマッツィーニの事が気になり始めました。内容を正確に把握出来ていない段階ですら、幾つかの言葉・言い回しが妙に印象に残っていた事。何より、その語り掛ける様な文章の内に異様な情熱を感じたからです。
改めて二度、三度と読み返しつつ、マッツィーニの生涯を調べ始めました。すると、この小さな本を読む度に新鮮な発見や感動を得る自分がいました。正に「噛めば噛む程に味が出る」といった感じでした。

マッツィーニは統一前の分裂状態にあるイタリアに生を受け、祖国の統一にその生涯を捧げました。彼は先んじて市民革命を試みたフランスを参考としながらも、それが失敗した要因を探ります。
「フランス革命の敗因は人間の権利に重点を置きすぎた事にあるのではないか?」。マッツィーニは自由を愛する人物でしたが、無制約な権利というものが互いに衝突し、最終的に強い個に弱い個が駆逐・征服される事を見抜いていました。
「人間が本当に自由である為には、権利に先行する義務を、全ての市民が認識し、自分達の力で実現していかなくてはならない」。単に権利を欲するだけでは人民は永久に支配され、抑圧される存在でしかない。自分達の力で自分達の義務を規定し、その実現の為の社会的結束を実現させる事が、人間を真に自由にする。

マッツィーニは「人民の参加に基づいて、人民の義務を規定し、人民の権利を保障する」為の政府、民主共和国イタリアの実現に向けてリソルジメント運動を開始します。しかし、その道程は過酷なものでした。
イタリアの封建勢力(封建君主と教皇)による弾圧。イタリアを勢力圏争いの舞台としていた二大国家であるフランス・オーストリアによる軍事介入。自由主義者の離反と民主派の分裂。マッツィーニの努力は次々と水泡に帰し、彼は人生の大半を孤独で貧しい亡命者として過ごします。
しかし、彼は諦めずに祖国と亡命地を行き来しながら活動を続行します。時に作家として。政治家として。一人の義勇兵として。主導権を他に奪われ、挫折を味わいながらも、祖国と人民の自由の為に闘いました。

最終的にイタリアはマッツィーニの理想とは異なる王国として統一され、マッツィーニは王国からの議員としての招致も辞退し、僅かな友人に見守られながらピサの地で人生の終わりを迎えます。「人間の義務について」(かつては「人間義無論」と訳された)は、最晩年のマッツィーニが全てのイタリア人に向けてしたためた書であります。
民主共和国の理想。権利に先行する義務。女性や労働者の政治的重要性。当時、支配の道具と化していた宗教を、本来の素朴なものに戻すべきと主張した「神と人民」。教育の重要性。最後まで作家として、共和主義者としての本分を全うしたマッツィーニの訴え掛けがこの小さな一冊に込められています。
簡単には理解出来ない、個性の強い一冊。それでいて、奥深く精巧な一冊。それが「人間の義務について」であろうと思います。今では私の愛読書の一つと成っています。

  • 質問者

    huj********さん

    2019/2/821:59:53

    さっそく読みたい本リストに入れました!

    マッツィーニ…聞いたことあるような気もしますが、そんな詳しいことは全然知りませんでした。

    ところでnan********さんは政治学のプロのお方とお見受けしますが(実にうらやましい!ここ数年、自分も本来は政治学系統の学部・学科に行くべきだった、と思ったことが何度もあります)、政治学関連のベスト1がマッツィーニだとすると、ベスト2、3あたりまで教えていただくことってできます?

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質問した人からのコメント

2019/2/14 13:51:48

大変興味深い解説をいただき、ありがとうございました!

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twe********さん

編集あり2019/2/808:40:23

イエス(・o・)

ryo********さん

2019/2/807:44:49

アドラー心理学を「哲学者」と「キレやすい学生」の対話形式でわかりやすく表現した【嫌われる勇気】は単純にエンターテイメント作品としてめっちゃ面白かったです感心できるし笑えるし、何より「キレやすい学生」の陰湿すぎる情緒不安定っぷりが凄くいい(笑)。

oka********さん

2019/2/806:37:36

ヤスパース「真理について」

bea********さん

2019/2/805:16:27

コーラン。

kum********さん

2019/2/801:56:52

葦分小舟かな。

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