ミノス王のクレタ王位継続の儀式のためにポセイドンが贈ったのは白い牡牛でしたが、なぜ白い牡牛を贈ったのですか?

ミノス王のクレタ王位継続の儀式のためにポセイドンが贈ったのは白い牡牛でしたが、なぜ白い牡牛を贈ったのですか? 白い牡牛でなければいけなかった理由などはありますか?

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呉茂一『ギリシア神話』(新潮社)から参考になりそうな箇所を引用しますと、 ――(ミーノーア文明は)牡牛が至上神の表徴であった。クレーテーの神話に牡牛がしばしば現われて来るのはこの理由にもとづいている。この至上神は、当然ゼウスと同一視されるようになった。エウローペーを載せた牡牛が、ゼウスだったのは当然である。 (中略) アステリオスの死後、クレーテーの王位継承について子供たちの間に争いが起こったとき、ミーノースは神寵が自分の上にあり、それ故自分が正当な継承者だ、と主張した。そしてその証拠に自分の神々への祈りが、立ちどころに叶(かな)えられるのを示そうとして、ちょうどポセイドーンを祭るおりだったので、神が犠牲のための獣を、海底から遣わされるよう祈り求めた。するとポセイドーンはそれに応(こた)えて、波間から世に類(たぐい)なく美しい牡牛を送り出してミーノースに与えた。この証(あかし)によって、ミーノースは異議なく王位を確保することができた。 ところがこのように美しい牡牛を手に入れると、ミーノースはこれを贄とするのが惜しくなって、ポセイドーンには他のありふれた牛を献(ささ)げ、その牡牛は牧場に送って自分の物とし、神々への誓言を反故(ほご)にしてしまった。(もとよりこれは後代にこじつけた作り話で、本来の意味は宗教的な儀軌に関するものだったろう。)―― (第5章 第2節「クレーテーの伝説」) ポセイドンが贈ったのが「白い牡牛」だったというのは、どの出典によるものか、浅学のため私には分かりませんが、上述の呉氏の文章から推察すると、 「白い牡牛=世に類なき美しい牡牛」 ということになるでしょう。 よく考えてみると、全身「真っ白な牛」というのは(そんな品種があるかどうか知りませんが)現在でも珍しいと思います。 ある種の生物で、色や形が珍しい個体が現れたとき、それを「瑞祥」(めでたいこと)として、改元したりする話は、日本の『古事記』『日本書紀』にもよく出てくるエピソードですから、 「見たことのないような美しい牡牛=神によって遣わされた牡牛=神聖な牡牛」 ということで、それを得たミノスこそが王位継承に相応しいという事になった――というのが、この話の趣旨なのだと思います。