塩を水に溶かすと、電離し、ナトリウムイオンと塩素イオンとに分かれますよね。その場合でも、人は普通に「塩水(しおみず)」と呼び「塩素イオン水」とは言いません。それはそういう言語文化であるからです。いわゆる科学用語では無く、日本語として普通の事だからです。
そもそも、電離とは物理的にもわざわざ「〇〇イオン」と言い換えるほどの、決定的な分離では無いからだと思います。
電離とは電気的に分離するだけで、塩は塩だからです。つまり、Na⁺イオンとCl⁻イオンとは全く別々に離れて存在しているわけでは無く、電離前の様に引っ付いて存在していて、その周りをH²Oが取り巻いている感じなのです。
水中で塩が溶けている様子を、イメージで言うと、複数のH²O分子の風船の中に、Na⁺とCl⁻が引っ付いて存在している、という感じで良いと思います。
硝酸塩の場合も同じで、アンモニアから変化した硝酸塩が水に溶けている状態では、H⁺イオンとNO³⁻イオンとに電離していますが、これも分離されて存在するのでは無く、電気的に電離しているだけで、実際の存在は、周りをH²O分子に取り囲まれ、電離前の様に引っ付いて存在しています。
ですので、硝酸塩が水に溶けた状態の物を計測する場合、硝酸塩イオンとは呼ばず、硝酸塩と表現する事に間違いは無く、誤解でも無く、むしろイメージとしてはピッタリだと思います。