源氏物語を現代語訳で読むならどれがお勧めですか。
源氏物語を現代語訳で読むならどれがお勧めですか。
1人が共感しています
ベストアンサー
一般に「源氏物語の現代語訳」と言われるものは、大きく二種類に分けられます。一つは、主に学者による、本当に源氏物語を現代語訳したもの(勿論学者だけではなく、源氏物語をリスペクトしている作家がそうしたものも少なからずあります)。もう一つは、主に作家による、源氏物語を分かりやすく書き改めたもの。 前者は内容的に正確ですが、言葉が難しいものが多い。後者は、分かりやすくて面白いけど、不正確というか、源氏物語にはない作家のオリジナル展開が少なからず含まれる(原作とTVドラマで設定が違うとか、いくらでもあることですよね。それと一緒です)。いくつか例を挙げると、田辺聖子先生は、“「わかりやすい『小説』」として仕立てた”と明言しておられます。有名な『あさきゆめみし』も、作者の大和先生は「盛り上げ過多」と文庫版あとがきで自己評価しておられます。円地文子先生は、「こうした加筆を古典に対する例を失した態度と見る読者もあるかも知れない。しかし、私は、奇を衒ったり、原作を歪曲したりするためにこの加筆を行なったのではない。『源氏』を読んでいる間に、それらの部分に来ると、いつも憑かれたように湧き立ち、溢れたぎり、やがて静かに原文の中に吸収されてゆく情感をそのまま言葉に移して溶かし入れなければいられないままにそうしたのである。その点、私にとっては、この現代語訳は、加筆の部分をも含めて、原作への純粋な愛の表現であることに何の後ろめたさも感じない」とのことです。 話を戻して。繰り返しになりますが、「源氏物語を分かりやすく書き改めたもの」は、不正確です。なので、私としてはおすすめしません。ちなみに、他の回答者さんが仰っておられる瀬戸内寂聴先生のも、こちらに含まれます。 正確であることを前提に、その中から読みやすいものを選ぶと、角田光代先生とか大塚ひかり先生とかでしょう。 また、本ではありませんが、五十四帖全ての原文と良質な訳と注釈が無料で読めますよ。 『源氏物語の世界 再編集版』 http://www.genji-monogatari.net
2人がナイス!しています