これってさ、「ドラえもん」と同じ種類のテーマのお話だよね。
何言ってんだ、って言われそうですけど。
だってさ、ドラえもんって、「のび太はジャイ子と結婚して悲惨な人生を送る」という未来を変えるために、ドラえもん、という教育ロボットが派遣されてきて、のび太を「しずかちゃんと結婚できるようなリッパな人間になれるようサポートする」って話ですよね、みんな連載の第一回なんて忘れてるかも知れないけど、確かにそういう設定のお話だったでしょ?
だけどさあ、未来の のび太 が不幸なのは、ジャイ子のせいじゃないでしょ? のび太って男が情けないからでしょ? ジャイ子はそんなに酷い女性なの、そんなことないでしょ? 結局のび太が成長しなきゃ、結婚相手が変わったって一緒じゃないの?
どうして、そこんとこみんな論じないの?
だから「STAND BY ME」のシリーズは問答無用でダメだ、というのが私の持論なんですけどね。
とにかく、「知ってるワイフ」って、要するにドラえもんの代わりに生瀬が出て着て、「いまの鬼嫁と結婚しなかった別の人生を、キミにあげよう」って話、なわけだよね。
では、大倉は、広瀬アリスと結婚しない人生ならホントに幸福になれるのか、ってのが、この先のドラマで明らかになっていくわけだ。てゆうか、大抵の視聴者が想像する通り、結論は見えてるけどね。ここはドラマだから、主人公はひととおり「地獄めぐり」をして、成長しなくしゃいけないわけで。
大倉が別の女性(大金持ちの御令嬢)と結婚して「幸せに暮らしている」ところに、大倉と結婚していない広瀬アリスが現れる、会社の同僚として。この広瀬は有能で機転が利く、周囲をどんどん笑顔にしていく女性だ。大倉は「おかしい、オレの妻はこんな明るい女じゃなかったのに」って混乱するわけだけど。
この時点で、もう視聴者には明らかなんだよね、「広瀬は、大倉と結婚したから、あんな鬼嫁になってしまったんだ」ということ。つまり鬼嫁化の原因は広瀬よりも大倉にあるんだ、ってことだ。
誰でも分かるこの理屈に、大倉だけはまだ気づかない。そういうもんなんだ、ドラマの主人公というのは、視聴者よりちょっとだけバカに設定されているもんなんだ。これをオカメ八目という(囲碁用語)。外から客観的に見てる人間は、もがいてる当事者よりもモノがよく見える。
大倉の妻・広瀬アリスは、乳幼児を何人も抱えて、どうやら育児ノイローゼ気味だ。そこに大倉は、ゲームがしたいの、呑んで帰るのも仕事のうちだの、妻の神経を逆なでするようなことばっかやって、それでも自分は正しい、妻が悪いって言い張っている。
どう考えたって、大倉、おまえが未熟だったんだよ。
そのことに気づかずに人生やり直しても、幸福にはなれないんだよ。
広瀬アリスは、もともと笑顔に溢れる女の子だったじゃないか、それを鬼嫁にしたのは、自分なんだ。
っていうことに、のび太はいつ気が付くのか? てのがこのドラマのテーマである、ってことになる。
うああ、世の中のすべての男は、刮目して観るべきだな。特に俺。やばい、やばすぎる