正当防衛が認められる5条件に照らして考えましょう。おそらく単なる傷害になるかと思います。
(1)急迫性・・すぐに行動しなければ、その友だちの生命・身体に危害が及ぶ蓋然性が、客観的に見て高かったとは思えませんから、これは当てはまらないのではないでしょうか
(2)不正の侵害・・凄んでみせることが、ただちに違法性をもつとは言えませんので、微妙です
(3)防衛行為の必要性・・今の場合、その友人に凄んでいるのをやめさせるか、友人が逃げられればいいわけで、そのために攻撃する必要は必ずしもありませんから、防衛行為の必要性(やむを得ずしたこと)は否定されます。
(4)防衛行為の相当性・・危難を避けるために必要最小限の攻撃であったかどうか、が問われます。(3)とも関係しますが、いきなり腕を折る、と言う行為は「当面の危難を避ける」ための必要最小限と言うのは困難で、裁判所の判断は「過剰な攻撃」となるでしょう。
(5)防衛の意思があったかどうか・・一番難しいのはここです。たとえば「友だちが凄まれているから、あいつは悪いやつだ、やっつけてかまわない」等という意思があった、と評価されたら、防衛の意思をもって行った反撃とは見なされないからです。そして、強力すぎる攻撃は、「防衛のためにやむを得ずとった」とは見なされないのが普通です。
以上、正当防衛が認められる要件で判断するなら、いきなり腕をおることが正当防衛として認められる可能性はかなり低いと考えます。