フランシスコ・ザビエルの評価
「日本人は、私がいままで出会った異国人の中で最も傑出している。日本人よりも優れている異教徒はいないと考えられる。彼らはおおむね良い素質を持っており、悪意がなく、交友してすこぶる感じが良い。
日本人の生活には節度がある。ただ酒に関してはいささか過ぎる国民である。彼らは米から取った酒を飲む。ブドウはここには無いからである。(註:甲州ブドウは奈良時代からありますが、ザビエルの布教は西日本中心なので知らなかったのでしょう)
住民の大部分は、読むことも書くこともできる。これは、祈りや神のことを短時間で学ぶためのすこぶる有利な点である。
日本人は妻を一人しか持っていない。窃盗は極めて希である。死刑をもって処罰されるからである。
彼らは盗みの悪を非常に憎んでいる。大変心の善い国民で、親交や学問を好む。
日本には、獣類の形をした偶像などは祭られていない。
大部分の日本人は、昔の人を尊敬している。それは哲学者のような人であったらしい。国民の中には、太陽を拝む者が非常に多い。月を拝む者もいる。
僧侶は自然が憎む罪(男色)を好み、またそれを隠すことをしない」
フランシスコ・カブラルの評価
「私は日本人ほど、傲慢、貪欲、不安定で偽装的な国民を見たことがない。日本人らは、誰にも本心をうちあけず、また他人から読み取れぬようにするのは名誉で賢明なことだと思っている。
だから子供のころから偽善的であるように教育されるのである。彼らは土着民であり、低級な黒人なのだ。
日本の政治は野蛮であるために、国民は偽善者だ。いま日本では、キリスト教徒になっている大名が多くいるが、それはポルトガルとの貿易で大もうけしてやろうという打算的な目的があるからだ。本心から信心を持っているとは思えない。
彼らは悪徳にふけっており、またそうなるように育てられているので、それらから守るためには、聖なる神の恩寵に頼るほかはない」
アレシャンドゥロ・バリニャーノの評価
「人々はいずれも色白で、きわめて礼儀正しい。一般庶民も労働者も、驚嘆すべき礼節をもって上品に育てられ、あたかも宮廷の使用人であるかのように見受けられる。この点においては、われらヨーロッパ人よりも優れている。
国民は有能で、秀でた理解力を示し、子供はわれらの学問や規律をすべてよく学び取り、ヨーロッパの子供達よりもはるかに短期間に、われらの言葉で読み書きすることを覚える。
また下層階級の人々も、われらヨーロッパ人に見られるような粗暴や無能力といったものがない。一般にみな優れた理解力を有し、上品に育てられ、仕事に熟達している。
一方でとにかく男色が多い。特に僧侶たちにこれが多い。
日本の正統な君主は天皇であるはずなのに、天皇に対する忠誠心がない。日本で大混乱が起こっているのは、日本人が天皇への忠誠心を失ったためではなかろうか。
仏教は欺瞞の宗教なのに、それを信じるものが多い。そのために日本人は嘘をいい、偽りを装うようになったのではないか」