・ナパーム弾
焼夷弾。火が容易に消えないため、掩蔽壕やトンネルへの攻撃として使用して敵兵を焼き出し(戦術焼夷弾)たり市街地へ使用して都市生産力へダメージを与える(戦略爆撃)などの用途に使う。
どちらも非常に効率が悪いので昨今使われない。戦術目標に使うなら無駄に広範囲を攻撃するよりピンポイントで爆撃した方が安価だし、都市戦略爆撃は余りにも効率が悪すぎることが第二次大戦の戦訓。
最近ではシリアのよりにもよって市街地でロシアが使用。戦果は微妙。火災に繋がるので民衆の心理的恐怖を煽る効果は高い。あとジャングルを焼き払う時に使ったりもした。今はそうした土木工事には燃料気化爆弾などの爆風兵器を使う。
・クラスター弾
小型の爆弾を広範囲にばら撒くことで平方km単位の非装甲目標へ打撃を与える戦術兵器。かつて自衛隊は着上陸戦に備えて配備していた。
当然ながら戦車などの装甲された目標には効果が見込めないし、建築物やトンネルなどに隠れられると効果激減する。
つまり非装甲目標が暴露状態にあるときに使う。大量の小玉をバラ撒く以上、一定数の不発弾が発生し、それを子供や物見高い記者なんかが持って帰って惨事になったりするため、禁止条約が発効した(ただし主な使用国は批准していない)
・白リン弾
面制圧兵器っつうか焼夷煙幕弾。主な用途は煙幕。それも砲撃の前に撃ち込んでマーカーとして使う。煙幕としては赤外線探知も誤魔化せないので用途としてはほぼ無い。マーカーとしてもあまり使われなくなった。
一時、骨まで焼き尽くす非人道兵器みたいな報道が出回ったことがあり、デマ情報が広まったが、中学校程度の理科知識がかすかにでも脳裏に残っていれば引っ掛かるわけもない程度の代物であったため、未だにそれを言う人はあらゆる理屈が通じない人として判断可能という妙な副産物が発生した。
・サーモバリック弾
広範囲に衝撃波と爆風を発するため、非装甲目標に対しては大きな破壊力を持つ。一般的な爆弾と異なり、金属破片をバラ撒かないので環境に優しく、圧力の持続時間が比較的長いので生物に厳しい。
主な用途はこれも土木工事。邪魔な障害物(きちんと掩体されていない敵の拠点など)を撤去したり密林をなぎ倒す用途によく使用される。MOABなんかが有名。
破壊力の源が衝撃波と爆風なので装甲目標には効果半減。きちんと基礎がある建築物や吹き抜けのあるトンネル、濠などに対しては効果激減。クラスター弾と似た性質というか、クラスター弾の代替として使われるようになったので似ているのは当たり前。
・他の面制圧兵器
いろいろあるけど面制圧の代表格といえば核爆弾。あとは連装ロケット砲なども制圧効果が高い。日本がクラスター弾に変わって検討している高密度EFPなども面制圧できる。
どれも対策をきちんとすれば効果を激減できてしまうけど、面制圧兵器で一番大事なのは損害を与えることでは無く、制圧すること。つまり敵に防御対策を取らせ、進撃させないこと。敵が防御している間は味方が攻勢に出られる。
そういう意味では「今このエリア内で迂闊に頭を出したら死ぬぞ」という効果をもたらすことができればなんでも面制圧兵器足りえる。