画質は、レンズ、撮像素子、画像処理の総合成績です。iPhoneが一眼カメラと比べて勝っているのは、実は画像処理エンジンだけです。
被写体に合わせてレンズ交換可能な一眼カメラは、まずレンズのアドバンテージが有ります。広角にしたければ広角、望遠にしたければ望遠と、レンズを付け替えることで幅広く対応できる。iPhoneは、複数のカメラを切り換えながら、間はデジタル補間しながら画像処理で画像を「作る」ことをやっているに過ぎません。
撮像素子は、光を電気信号へ変換する心臓部です。太陽電池と同じで、受光面積が広い方が、大きな信号を取り出せます。上限が高いと言うことは、明暗差を幅広く記録出来ることに繋がります。ダイナミックレンジと行って、画質を考える上で、非常に重要な要素になります。画素数が面的な細かさの指標とすれば、ダイナミックレンジは各点の明暗や色調の緻密さの指標になります。iPhoneの撮像素子は、一眼カメラと比べてものすごく小さいので、実はこの光を電気に変換する能力が極めて低いのです。それをHDR合成とか加算合成という処理を加えることで、明暗差を克明に記録する、暗いシーンでノイズを抑えて明るく記録するということを行っています。ここでも、画像処理能力に助けられている訳です。
このように見てくると、画像処理によって「作られた」絵で満足できるなら、iPhoneで満足できると言えますね。色んな工夫をして、自分で綺麗に「撮りたい」という場合は、撮影パラメーターを自由にコントロールできる一眼カメラが欲しくなるという感じかなと思います。
古いと言ってもどの程度の古さかによりますが、6,7年前位の機種であれば、実力的には絶対に負けませんよ。負けるのは、画像処理相当の部分ですので。ここには、カメラを調整して、綺麗に撮れるように撮影者が仕向けると言う事も含まれます。カメラ任せにして、カメラに「撮ってもらう」という姿勢だと、スマホに「作って貰った」画質に負けるかも知れません。
この辺りがこれから一眼カメラを買おうという人と、古くから使っている人の認識の違いかなと思います。私などは、絞りもコントロールできないカメラは、使いづらくて仕方有りません。被写界深度と言って、ピントの合う幅をコントロールする事が出来るのですけど、スマホなどはデジタルでボケを作っちゃいますよね? 自分で撮った訳じゃ無い。古くから写真を趣味にしている物から見ると、物足りないんですよ。
最後に、画像処理はPCソフトを使っても出来ます。カメラの画像処理エンジンが多少古くて使い物にならないとなれば、RAWというデータ形式で撮影しておいて、コンピューターで現像処理をするという方法もあります。元データはスマホ以上なので、ここを頑張れば古い機種でも(6,7年くらい前程度ね)、iPhone以上の画質は得られるでしょう。
注:6,7年というのは、それ以前は素子の更新が目覚ましかったんです。新型が出る度に画素数が増えていって、何処まで行くんだろう?って感じでした。だから、余り古い物は、緻密さで難が出てくるでしょうし、感度上限が低くダイナミックレンジが狭いというデメリットがあるので、一眼カメラのメリットを活かしにくいと考えます。製品寿命の問題もあります。