Microsoftの思想ですよ。
16bitパソコンの時代、GUIといえばMacintosh
通は「AMIGAやろがい」と言っていましたが←記憶改ざん
Microsoftは、そこにあせりがあったんだと思います。
潤沢なリソースを備えたUNIX機でもGUI(X Window System)が生まれ
GUIの可能性を真剣に考えるようになった1990年代でしたが
遡って1980年代なかばには、しょぼすぎたMS-DOSを抜本的に改革すべく
Microsoftは、IBMとの共同開発でOS/2に着手しています。
IBMは今で言うWindows PCの原型たるIBM PC/ATの、いわば本家
もともとメインフレームなどの事業でも成功していて
信頼性や堅牢性についてすぐれたノウハウを持っていましたが
OS/2のバージョン2をIBMが作り
バージョン3はMicrosoftが作るという計画を放棄し、Microsoftは
OS/2の事業から撤退し、Windowsに力を入れることになりました。
結果的にOS/2バージョン3として作りかけていたものは
社外から人材を取り入れて、大幅に改修しWindows NTとなりましたが
OS/2のHPFSと、それをベースにしたNTFSは
パーティションIDに同じIDを使うことになりましたし
初期のNTが吐くエラーコードは、OS/2の資料で確認できていました。
ともかく、そうやってOS/2を離脱して
一般大衆に売り込んだのが、あのWindows 3.0,3.1です。
当時のパソコンはリソース不足がひどくて
OS/2も、IBMがバージョン2,3,4と続けていく間
充分なメモリーが必要なOSとも言われていたんですが
Windowsは限られたリソースで、より速く
よりエモーショナルなOSを企図していたと思います。
結果、構築は厄介なだけでなく、信頼しようがない代物で
マルチタスクができるとしても、MS-DOS機を2,3台持っている方が
Windowsよりも捗るとも言われていました。
特に日本ではPC-9801のシリアルチップのしょぼさから
パソコン通信勢がWindowsを嫌悪していたとも言えます。
MS-DOSなら安定通信できるパソコンが
Windowsでは文字落ち文字化けでひどいことになっていたんです。
同時期、OS/2は利用者のほとんどがPC/AT互換機でしたし
パソコン通信でのトラブルはあまり話題になりませんでしたし
OS/2はWindows 3.1互換機能に仮想化を採用し
複数の仮想マシン(MVDM)を使うことによって
Windows 3.1の"アプリが落ちるとOSまで落ちる仕様"を回避
Windowsよりも便利なWindowsアプリ環境とも言われました。
鳴り物入りでWindows 95が出ても、信頼性や堅牢性は低く
16bitコードが残っているから不安定だなんて話もありましたが
OS/2は普通に16bitコードを含み、16bitドライバーを組み込んでも
なお堅牢なOSとして稼働していましたし
Windows 95と比較した上で、OS/2 Warp4を採用した企業もありました。
NTはNTで、当時はまだWindows 95系との互換性問題がありましたし…
1990年以前のOS/2ですでに実現していた堅牢なファイルシステムや
堅牢で、まともなプリエンプティブマルチタスクなどが
1990年代の大衆には提供されませんでした。
それはWindows XP発売の2001年まで待たされることになったんですが
つまり、Microsoftは一般大衆に対して
信頼性や堅牢性を提供する必然性は無いと考えてきたわけです。
代わりに、マルチメディア体験やゲームについて力を入れて
「IBMに付き合っていてはそれを実現できない」
イコール「Macintoshに更に差を広げられる」
「ゲーム市場をAppleに押さえられたらおしまいだ!」
そういった考え方でWindowsは育っていったのでしょう。
結果的に、OS/2ではあたりまえだった堅牢性が
はじめて大衆の手に届いたXPは、神OSかのように崇められ
未だXPが最高だと思う人がいるくらいです。
まぁ、OS/2が最高だと思っているOS/2経験者もいるわけですが…
技術的に優れたものを作ったはずでも
それを企画設計している組織が何かをおろそかにしていれば
開発力が向かっていく方法にOSは育ちます。
堅牢性や安全性よりも、すごい機能をアピールしようとすれば
たとえば、Windows同士のデュアルブートを行なった場合でも
高速起動wのいいかげんな終了処理で切り上げる仕様のために
外付けHDDのファイルが壊れたりする事故が起きたりするわけです。
傍目にはただのアホです。
Windows95以降の宿痾とも言えるレジストリーのトラブルも
いろんなソフトを入れたり消したり繰り返す一般大衆が
そのうち陥る"特殊な問題"としか思っていないのがMicrosoftです。
OEM戦略のもと、一般大衆に買わせなくても
パソコンメーカーと企業ユーザーに売れば済むわけですから
一般大衆の悩みなんかの解決に、本気を入れもしないのです。
だって、企業ユーザーはいろんなソフトを入れたり消したししないので
レジストリーのトラブルなんかそうそう起こりようもないんです。
そういうMicrosoftの態度の悪さを
君主と崇め、批判すらできないでいる人が大勢いて
衆愚によってWindowsのシェアが維持されているんだと思っています。
それでも、長期的に見て、減り続けてはいるんですけどね。