これは、パワーアンプからプリアンプに電源を供給する場合のハム低減のための抵抗です。
パワーアンプからプリアンプに電源を供給すると、電源に載っているリップルがGNDを通して戻ってきます。このリップルが音声信号のGNDにも流れてしまうのを防ぐのがこの10Ωの目的です。
音声信号のGNDが直接電線で接続されていたら抵抗値は0.1Ω以下ですが、10Ωを入れることによって100倍以上抵抗値が増えます。リップル電圧が同じだとするとリップル電流は100分の一以下になるという事です。
リップル電流がGNDに流れると周囲に回転磁界を発生し、その磁界の中にある信号線にも誘導電流を発生します。なので、電流を減らす必要があるわけです。
電源のGND線と信号のGND線をプリ=パワー間で直接接続すれば、リップル電圧は半分になりリップル電流も半分になるはずですが、そうしないでリップル電流を電源のGND線に流してしまおうという事です。
プリアンプの電源をパワーアンプから供給するというのは昔は結構ありました。しかしそういうのも少なくなり、さらに機器間の接続にシールド線が使われるようになってこの抵抗は使われなくなったのだと思います。
ただ、プリアンプからの電源のリターンがパワーアンプのGNDに繋がらず、出力管のカソードに繋がっているのはちょっと理由が分かりません。何か意味があるのだと思いますが...