VPNの利用用途としては、大雑把に言うと3種類あります。 1. 自宅内や会社内のネットワーク（LAN）へ接続するために利用する 2. パスワードを設定せず利用できるフリーWi-Fiのような、信用できない非暗号化無線通信を、VPN暗号化トンネル内を通す事で守る 3. 通信をVPNサーバを経由させることで、通信元がどこなのか？を分からなくする これらは用途が全く違うって事を、まずは理解してください。 1について、自宅内や会社内のネットワーク（LAN）には、通常はインターネット（WAN）からは直接入る事はできません。 もしそれができてしまったら、悪意ある第三者にでも自由に自宅内や会社内ネットワークに入れてしまいますので、大変な事になります(笑) その一方で、例えばコロナ禍の影響で利用者が急増したテレワーク等では、自宅やカフェからインターネットを経由して会社内のネットワークに参加したい…なんてケースがしばしば出てきます。 その時の接続方法として用いられる手段の代表がVPNです。 VPNとは、そもそもが "V"irtual "P"rivate "N"etwork の略（意訳：仮想的に異なるネットワークを繋ぐ）であり、本来はこのような用途で用いられるものです。 例えば、自宅内LANへ外出先からインターネット経由で接続したいというケースがあるなら、「VPN対応ルーターを買う」というのが1つの選択肢になります。※ただしインターネット側に「侵入口」を開ける事になるので、初心者はなるべくやらない方が良いです。 2について、例えば「パスワードを設定せず利用できるフリーWi-Fi」は、無線通信が暗号化されない ≒ 通信内容の盗聴や改ざんの危険がある…という事を意味しています。 それに対しVPNの暗号化トンネルを通す事で、ある程度のセキュリティを担保しましょう…という考え方です。 セキュリティソフトが提供しているVPNとは、主にはこの目的で利用するものです。 にも関わらず、仕組みも意味・意義も理解しないまま、何となくVPNを使って「セキュリティ対策をしている」なんて勘違いをしている人が、かなりの数います。 酷い人になると、「VPNを使うとウイルス対策になる」と思っていたり(頭痛) セキュリティソフト会社の宣伝方法や広告にも問題があると思いますが、日本に住む一般庶民が自宅で普通にインターネットを楽しむ際に、その通信を盗聴や改ざんされるなんて事は（よほど規格の古いWi-Fiルーターを使っているとかでもない限り）なかなかそうそうある事ではありませんし、そもそも自宅の通信が盗聴される事自体が大問題なのですから(笑)、自宅でのインターネット利用に2の目的でのVPNなんて、普通は要りません。 通信速度の低下や、利用できるサービスが利用できなくなるなど、「意味もわからず何となくVPNを利用していた人」のトラブル質問が後を絶ちません。※特にiPhoneユーザーは酷い。 外出先のWi-Fiを利用する際に「保険のため」に利用するぐらいなら理解できますが、VPNを使えばフリーWi-Fiの脅威の全てを防げるわけでもありませんので、そこは勘違いしない方が良いです。 3について、これはセキュリティソフトとはまた別の「VPNに特化したサービス」がよく「宣伝・広告としてウリにしている（あるいはアフィリエイトサイトがそう説明している）」事ですが、犯罪行為をして身元を隠蔽したい犯罪者でもない限り、この用途での利用も基本は不要です。 例えば中国のようにインターネット検閲が盛んな国では、規制により国外のSNS等が利用できません。 その規制を回避するためにVPNを利用する…といった用途であればアリですが、そういった用途を理解できている人であれば、そもそも知恵袋では質問しないです。 以上をまとめますと、VPNの仕組み・用途・意味や意義も理解せずに使い「何となくセキュリティ対策しているつもりになる」レベルの人には、VPNなんて全く要りません。 トラブルの元になるだけですし、お金の無駄です。 トラッキングのようなものが気になるのであれば、以下を参考にまずは「広告ブロッカー（コンテンツブロッカー）」の導入を検討してください。無料でも良いものがたくさんあります。 https://wikiwiki.jp/nanj-adguard/