ベストアンサー
このベストアンサーは投票で選ばれました
昭和38年の会合の際に、渋谷白涙という演歌師が「ジンジロゲ」は自分の作品だと主張したそうです。渋谷は、大正六、七年頃に上野公園や浅草方面でバナナのたたき売りをしていたボビーという亡命インド人からインドの夕食前の祈りの歌として教えてもらったもので、それを演歌に仕立てて流して歩いたのだといい、実際に歌ってみせたといいます。 長野は、久留島秀三郎(前回の記事参照)が「朝日新聞」昭和36年6月27日に書いたエッセイ「ジンジロゲ考」も承知していました。「白涙氏のと東芝のとはよく似て居り、久留島氏のとは系統が違うかも知れない」と長野は書いています。「東芝」というのは森山加代子が歌った「じんじろげ」のことです。 そこに西沢爽が補注をつけていて、その補注には渋谷白涙著『最新俗謡集』(大正12年8月刊)から「ヂンヂロゲの唄」の歌詞が引用されています。 ところがその歌詞をみると、「ヂンヂロゲヤ、ヂンヂロゲ」と始まって「シッカリカマタキ、ワイワイ」に至り、つづいて「ビラニナバニナ、ヂョイナラリーヤ」から始まって「ラーバ、ハルチル、カーナー」で終ります。つまり、「ビラニナバニナ」からの後半は、前回ブログで引用しておいた久留島氏が戦後にインドで特定したという雨乞いの唄の歌詞全体なのです(もちろん「訛って」いますが)。 それならこれが三高の「ヂンヂロゲ」かと思うと、これは白涙の本に記されている歌詞です。では、どうして長野は白涙のと森山加代子のが似ているというのか。森山加代子が歌った曲で雨乞いの歌から採用したのは「ヒッカリコマタキ ワーイワイ」の繰り返しだけでした。 というわけで、三高系と白涙系、雨乞い系と夕食前の祈り系、どれがどうやら、ますますわからなくなっただけでした。(笑) (なお、西沢爽によると、渋谷白涙は昭和49年11月に、森山加代子の「じんじろげ」は自分の訳詞・編曲であると、社団法人日本音楽著作権協会に正式に提訴したそうです。西沢は当時同協会の作品審査委員の一人として審査に当たったが、結局は、立証する資料が薄弱だという理由で提訴は斥けられました。) http://blog.livedoor.jp/yousayplanet/archives/6042738.html 「遊星王子の青春歌謡つれづれ」のブログより
NEW! この回答はいかがでしたか? リアクションしてみよう