こんにちは。あれは、いい時計ですね。ネットでの評価も上々のようで、amazonなどのユーザーレビューにも、たしかに「グランドセイコーに近いくらいじゃないか、匹敵するんじゃないか」みたいなニュアンスの意見がたくさんのべられているのを見ます。 さて、正味のところどうなのかを言えば、ふたつの時計を並べて見比べてみれば、グランドセイコーに匹敵「しない」のは明らかだと思います。 しかし、そうだとしたらネットでグランドセイコーとの比較を試みているけっこう多い人数のレビュアーの皆さんは、全員がフシ穴なのでしょうか。それらの意見は全員お馬鹿さんな意見だということで、切り捨てて大丈夫なのでしょうか。そんなわけはないと思うのです。 「たとえ大げさな言い方だとしても、そうまで言わせる何かがある」 「自分でも大げさだとわかっているが、あえてそうまで言いたくなる」 といったことがこの時計にはあるんじゃないでしょうか。そういうところを想像していったほうが、正しい理解が得られるように思うのです。 私が思うに、ああした評価は、 「心意気」 の部分が加算されているんだと思います。 「付けられている値段に対する品質」が明らかに上質なため、その「感動」が、値打ちとしてかさ上げされ、過分ともいえる強い表現につながっているんだと思うのです。 この商品は普及品価格帯の商品であるから、コストはあまりかけられない。しかし、ぎりぎりコストの許す限り美しく上質な腕時計を作るぞ！ という作り手の「意志」が伝わってくるから、その意志に感じ入った人々が、「心意気はグランドセイコーだ」と述べているんだと思います。 世の中には、「正しいか間違っているか」の二択では割り切れないものごとというのが、往々にして存在するように思います。これなんかは、そうだと思います。単なる二択で考えるなら、「グランドセイコーとは比較にならない」が正解だと思いますが、そういう二択では割り切れない部分、二択ではこぼれおちてしまうニュアンスの中に、けっこうだいじなものが含まれているような気がします。