ここから本文です

突然のリクエスト失礼します。 アメリカ文学であなたが気に入った作品を二、三...

アバター

ID非公開さん

2019/1/1212:53:59

突然のリクエスト失礼します。

アメリカ文学であなたが気に入った作品を二、三教えて
頂けないでしょうか。
自分はアメリカ文学といえばポー、ホーソン、メルヴィル
しか読んだことがありません。

中高生時代を含めてこれにオー・ヘンリーが加わるくらいです。
あなたが推奨する、これはいいよという作品を教えて下さい。



情報提供、ありがとうございました。

この質問は、ota********さんに回答をリクエストしました。

閲覧数:
144
回答数:
3
お礼:
500枚

違反報告

ベストアンサーに選ばれた回答

ota********さん

リクエストマッチ

2019/1/1307:29:07

メリメの『カルメン』の一幕で、ホセがカルメンに「アメリカに渡って一緒に暮らそう。」と説得を試みる場面があります。それに対するカルメンの返事は、「あたしゃキャベツなんぞ作る柄じゃないよ。」というものだったと思います。

どうやらアメリカは、キャベツを作るような人が移り住む場所のようです。そして、アメリカ文学はその背景に開拓や西漸運動を背負っています。なかでも、ウィラ・キャザーの『私のアントニーア』や、ワイルダーの『大草原の小さな家』が扱っているものは、ずばり開拓者の生活です。というわけで……、

---------------------------------
『大草原の小さな家』

作者:ワイルダー
---------------------------------

電車がホームに進入しているにもかかわらず、黄色い線の外側を歩く人がどこの駅にも見られます。背後から警笛を鳴らされ、ようやく黄色い線の内側にもどる始末。もし何かのはずみで転落でもしたら一大事。なぜそこまで命を張りたがるのか不思議でなりません。

でも、ローラの一家はもっと大胆です。何度も命懸けの荒業を成しとげています。春が近づき、いつ氷が割れてもおかしくない湖面を馬車で渡り抜けたり、狼どもが周囲をうろつくなか、まだドアも取り付けていない家のなかで一夜を明かしたり、森の中で狼に取り囲まれたり、風にあおられ草原を舐めながら迫り来る炎をなんとか食い止めたり、インディアンに一家全滅の目に遭わされるところを、ひとりの英雄的なインディアンの尽力により免れたり、と……。

登場人物はしばしばその身に死を背負います。作品の雰囲気である春の陽射しのような、ほのぼのとした明るみのそばには、現実の、生々しい、グロテスクな死が息をひそめているのです。命を懸けるという点において、ローラは生まれついての、そして無自覚の勝負師であり、しかもすべての勝負に勝っています。誰が大金持ちになったというわけでもなく、堅実な一家の質素な生活が書き綴られているだけですが、どちらかといえば、これはアメリカン・ドリームの勝者の側の話でしょう。

しかし、いっぽうまた、敗者の悲しみや怨嗟も作品に微妙な影を落としています。この物語の遠景には、無慈悲にも土地を追われるインディアンの憂い嘆く姿があります。その姿は子どものローラには見えず、語り手である大人のローラにだけ見えています。そしてまたローラの母さんは、インディアンの狩猟の権利を理解できず、土地は耕したものが所有し占有するのが正しいのだ、という考えを崩そうとしません。作者がそのことを忘れずに書いたのは、おそらくこの問題が作者を長年に渡って悩ませ続けてきたからでしょう。ともあれ、大人と子どもの二つの視点が、この物語に深みを与えているように思います。

この作品はまた、草原生活のハウツー本でもあります。丸太小屋の丸太の組み方、煙突の取り付け方など、次から次へとこちらの興味を掻き立ててやみません。隣人がロウソクを持たずに井戸掘りをし、途中で意識を失いますが、そのときの父さんの言葉、「人はロウソクが燃えない場所では生きられないのだ。」 川で遊ぶときはくるぶしの深さまで。火が迫ってきたら家のまわりに壕を掘って迎え火を放つ。マラリアに罹患したときはかくかくしかじか。こうして読者は、自然のなかで文明人として生きるには、人はどのように知恵を働かせ、道具を使いこなせばよいか、という実用的な知識を得ます。

このように『大草原の小さな家』は、温和さのなかに大胆さ、微妙な味わい、実用的な知識が詰まった良質の回想記となっています。

ところで、中西部の草原で一家が慎ましくも希望に満ちあふれた暮らしを送る話でも、あるいは、都市部で新聞の売り子が会社の社長に登りつめる話でも、登場人物は独立独歩の精神で事を運びます。アメリカン・ドリームとは、誰にも頼らずに自身の努力と才覚のみで成功することをいいます。

しかし、成功を収めるために、不正な手段を用いたり、犯罪に手を染めたり、不道徳なことをする者も当然現れます。アメリカン・ドリームといっても、その実現には辛苦や不正を伴なう場合があるのも、またひとつの事実です。こうした夢の裏側や夢の頓挫を描いたのが、ドライサーの『アメリカの悲劇』や『シスター・キャリー』、フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』、フォークナーの『アブサロム、アブサロム』などです。

自分は『アブサロム、アブサロム』をこよなく愛読しておりますが、質問者様がだいぶ以前に人物再登場について御質問をなさったさいに、自分はこの話について考えを少し述べさせていただいたので、ここでは省略します。この作品を好きな理由を説明するのが難しい、ということもあります。

代わりに、フォークナーからの連想でひとつ思い浮かぶ作品を紹介します。心に響くというよりは興味深い作品です。

-----------------------------------
『アウルクリーク橋の出来事』

作者:アンブローズ・ビアス
-----------------------------------

作者アンブローズ・ビアスは『悪魔の辞典』の著者。『アウルクリーク橋の出来事』の訳は光文社古典新訳文庫から出ています。

この作品を翻訳し、ネットに公開されているかたもいらっしゃいます。
http://f59.aaacafe.ne.jp/~walkinon/owlcreek.html

1961年にフランスで映画化もされています。
La Rivière du hibou (『ふくろうの河』)
https://vimeo.com/163730099

さて、20世紀の作家、フォークナーは当時の映画に影響を受け、カメラ・アイという技法を編み出しました。固定カメラを頭に取り付けて撮影したような描写です。『響きと怒り』において、第一章の語り手である白痴のベンジーは、自身の回想を語るさい、転んだと言う代わりに、地面が顔に近づいてきたと表現します。また、坂を転がり落ちたときのことは、景色が回り出し、物の形が流れ始めたと認識しており、そのように表現します。

興味深いことに、アンブローズ・ビアスの『アウル・クリーク橋の一事件』でもカメラ・アイに近い描写がなされています。次の描写は主人公の男が、川の激流のなかでくるりくるりと回転してしまう場面のものです。

「川の水、両岸の景色、森、そして今や遥かかなたに見える橋と砦と兵士たち、そのすべてが混ざりあい、輪郭をなくした。眼に映る物は色彩によってのみ表され、色とりどりの縞模様が自身を中心に水平な輪を描いた。」

これも一種のカメラ・アイと言ってもよいと思いますが、意外なことに、この作品が発表されたのは1890年。映画が一般に広まる以前のことです。

『アウル・クリーク橋の一事件』には、ほかにも興味深い場面があります。首に縄を掛けられ、あとは踏み板を外すだけという段になったとき、緊張の極限に達した主人公が眼下の川の流れに目を落とすと、その流れが異常にゆっくりしたものであるかのように思えた、という場面です。これは、交通事故の瞬間がスローモーションとして記憶されている話を思い起こさせます。

また、こういう場面もあります。金床をハンマーで打ちつける音が頭に鳴り響いていたが、それは実は懐中時計の音だったというもの。このように五感に対して異常な敏感さを示す手法は、現代でも新鮮です。内田百閒の『王様の背中』が今なお新鮮で、痒みについて誰もこれを凌駕する話が書けないのとおなじように。

-------------------------------
その他、結構気に入っているもの
-------------------------------

おすすめというより、自分の趣味ですが……。

『ナンタケット出身のアーサーゴードンピム』(ポー)
理由……すごいので。でも失敗作だと思う。

『ジューリアス・ロドマンの日記』(ポー)
理由……自然描写が良いので。

『墓』(キャサリン・アン・ポーター)
理由……超常現象もないのに異様でおどろおどろしいので。

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(ジェームス・ケイン)
理由……すさまじいので。

  • アバター

    質問者

    ID非公開さん

    2019/1/1310:33:48

    これは失礼しました。あの時のお面(のような)方
    だったんですね。最近はIDも全部見えず画像が変わると
    気付くことができませんでした。
    大変失礼しました。

    今回もあの時も親切丁寧に教えて頂き感謝いたします。
    フォークナーは未読ですがいろいろ作品を揃えて、今年中
    には読み始めたいと考えています。
    カメラ・アイですか、自分はフローベールのステレオ描写
    (勝手な命名)、屋外の演説と屋内の情事が同時進行する
    描写にも驚きましたのできっと感動すると思います。

    他にたくさん、知らない作品を多く紹介頂き、
    ありがとうございました。

  • その他の返信(1件)を表示

返信を取り消しますが
よろしいですか?

  • 取り消す
  • キャンセル

アバター

質問した人からのコメント

2019/1/13 19:09:48

皆さま、いろいろ教えていただき、
ありがとうございました。

今年も楽しい読書ライフが満喫できれば
いいですね。
ありがとうございました。

ベストアンサー以外の回答

1〜2件/2件中

並び替え:回答日時の
新しい順
|古い順

pik********さん

2019/1/1309:40:31

冷血、さようならコロンバス。

返信を取り消しますが
よろしいですか?

  • 取り消す
  • キャンセル

des********さん

2019/1/1218:55:47

リクエストの人ではありませんが。
チャンドラー『長いお別れ』
清水俊二訳でお読み下さい。村上春樹も訳しているが、一番チャンドラーらしいのは清水さんの訳ですので。
ナボコフ『ロリータ』
ハメット『血の収穫』

返信を取り消しますが
よろしいですか?

  • 取り消す
  • キャンセル

みんなで作る知恵袋 悩みや疑問、なんでも気軽にきいちゃおう!

Q&Aをキーワードで検索:

Yahoo! JAPANは、回答に記載された内容の信ぴょう性、正確性を保証しておりません。
お客様自身の責任と判断で、ご利用ください。
本文はここまでです このページの先頭へ

「追加する」ボタンを押してください。

閉じる

※知恵コレクションに追加された質問は選択されたID/ニックネームのMy知恵袋で確認できます。

不適切な投稿でないことを報告しました。

閉じる