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『奥の細道』の市振の関の解説が聞きたいです。

hair_adoさん

2009/3/201:33:16

『奥の細道』の市振の関の解説が聞きたいです。

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frogman03544さん

2009/3/207:16:17

【市振の宿 元禄2年7月12日】奥の細道

『原文』

今日は親しらず・子しらず・犬もどり・駒返しなど云北国一の難所を越て、
つかれ侍れば、枕引よせて寐たるに、
一間隔て面の方に、若き女の声二人計ときこゆ。
年老たるおのこの声も交て物語するをきけば、越後の国新潟と云所の遊女成し。
伊勢参宮するとて、此関までおのこの送りて、
あすは古郷にかへす文したゝめて、はかなき言伝などしやる也。
白浪のよする汀に身をはふらかし、
あまのこの世をあさましう下りて、
定めなき契、日々の業因、いかにつたなしと、物云をきくきく寐入て、
あした旅立に、我々にむかひて、
「行衛しらぬ旅路のうさ、あまり覚束なう悲しく侍れば、
見えがくれにも御跡をしたひ侍ん。
衣の上の御情に大慈のめぐみをたれて結縁せさせ給へ」と、泪を落す。
不便の事には侍れども、
「我々は所々にてとヾまる方おほし。只人の行にまかせて行べし。
神明の加護、かならず恙なかるべし」と、
云捨て出つゝ、哀さしばらくやまざりけらし。

一家に遊女もねたり萩と月
(ひとつやに ゆうじょもねたり はぎとつき)

曾良にかたれば、書とヾめ侍る。

『日本語訳』

今日は、「親知らず・子知らず」、「犬もどり」、「駒返し」など
といわれる険路うちつづく北国一の難所を越え来て、
さすがに疲れてしまった。
それで、今夜は早々に寝に就こうとしたのであったが、
一間(ひとま)隔てた面側(おもてがわ)の部屋の、
2人ほどの若い女の話し声が耳について、なかなか寝付けない。
その話し声には、年配の男の声も交っている。
そして、その語るところを聞けば、
彼女らは、越後の国新潟という所の遊女たちであるという。
伊勢参宮を志して旅立ち、
男は、この関まで送ってきたのだが、
あすは、故郷に引き返すのであるという。
それで故郷への手紙とともに、
いささかの伝言も託しているようであった。
彼女らの語りである。
「私たちは、なんという運命のもとに生まれついたのであろう。
白なみのよする汀(なぎさ)に世をすぐすあまの子なれば宿もさだめず
と、古歌にもあるように、あまの子(遊女)というものになり下がり、
日々定めのない契り(ちぎり)のなかに生きなければならない。
なんという悲運なことなのだろう…。」
という語りを聞きながら、眠りに入る。
翌朝出発しようとすると彼女らは、われわれに対して、
「大変お願いしにくいことなのですが、
これからの旅は、私たちだけでは不安でならないのです。
同道をお願いするなど、おこがましいことは、
とても申し上げられません。
でもせめて、見え隠れにも後を付けさせていただけないものでしょうか。
僧形(そうぎょう)をなさるみなさまにおすがりしたいのです。
仏のみ情け、み恵みを垂れさせ給うこと、お願い申し上げます。」
と、涙ながらにお願いするのである。
…不憫なことである。…しかし、
「我々とて、ただまっすぐに辿る旅ではないのです。
所々方々に立ち寄ることも多いのです。
…よろしいですか。…このような場合は、
ただただ、人々の流れを信じ、その流れに従って行くことです。
そうすれば、必ずや神仏はお守りくださるはずです。」
と、言い聞かせて出発したのではあったが、
哀れさのいつまでもあとを引くことではあった。

一家に遊女もねたり萩と月

おもいを曾良に語れば、旅日記に書きとめてくれておった。

『背景』

7月12日。天気快晴。新潟県西頸城郡能生町を出発。
糸魚川の早川という川で芭蕉は足を滑らせて衣類を濡らしてしまいます。
河原で乾燥させてから、再出発。
昼、糸魚川の新屋町左五右衛門宅で休憩。
夕刻5時、市振に到着。
「桔梗屋」という旅籠に宿泊したと当地では言っていますが真意は不明です。

市振は、新潟県西頚城郡青海町(にしくびきぐんおうみちょう)の
親不知の南2.5km、北陸線市振駅周辺。
寛延年間に関所が置かれ、北陸道のチェックポイントとなりました。
宿舎の記述が曾良にも無いので不明ですが、
本文のような事実は曾良の随行記には無いので、
この遊女の一件は虚構であろうと思われます。

『語釈』

親しらず・子しらず・犬もどり・駒返し:
新潟県糸魚川市歌にある北国街道最大の難所。
親子といえども顧みる間も無く、犬も馬も渡りかねる難所。

一間隔て面の方に:
「面」は、ここが『源氏物語』「帚木」の巻からの影響があると思われるところから、
「西」の誤記ではないかという見解があります。

曾良にかたれば、書とどめ侍る:
曾良の『旅日記』にはこの記述はありません。

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