判例にいう相当因果関係説は、各因果の流れが社会的に見て相当といえるかにより判断しています。
大阪南港事件の因果の流れは、
①被告人による暴行→②第三者による暴行→③被害者死亡
ですが、社会的に見て①から②にいくのは、不相当(普通に考えたらおかしい)ですよね。
とすると、判例の相当因果関係説に立場、被告人の暴行と被害者の死亡との間には、因果関係がないことになります。
しかし、本件は被告人の暴行により被害者を死亡させたことが明らかで、被告人に被害者死亡の責任を取らせないことは明らかにおかしかったんです(この相当因果関係説からの処理ではおかしくなっちゃう現象を「相当因果関係説の危機」と呼びます)。
そこで、判例は危険な現実化という理論をとって、被告人に傷害致死の成立を認めたんです。