元鉄道従事員です。
一般企業のリストラと、鉄道会社が行うリストラと、方式が異なります。
一般企業のリストラは、対処となった人を解雇という形で行います。しかし、鉄道はこの方式は使いません。
リストラ対象となった人というのは、一般企業では企業が決めた一定レベルの業務成績に満たない者、在職することが自社にとって不利益になる者を対象とする事が主です。
しかし、駅にある仕事を時間単位でこなすことを要求する鉄道会社の場合、個人の能力で線を引けません。なので、駅なり、乗務員なりの仕事の種類を減らす、個々の担当時間の負担を上げる(改札の後方に売店を設置して、改札担当者に構内売店店員の役目もさせる、改札担当者に本来別であった券売機監視業務も兼任させる等)事でその駅、乗務員区の配置人数を削減するという方式です。
個人の能力でふるいに掛けるのでは無いので、個人自体を解雇することは組合が許可しないのでできないのです。鉄道はユニオンショップ制なので、会社解雇は組合脱退を意味するので、組合の許可なしに解雇は出来ません。
そこで行われるのが、新入社員の採用数を関連企業も含めて抑制する、関連企業の退職者を余剰が出た別の関連企業から転籍や出向で補うという方法です。
そして他の方の書かれている非正規職員の契約解除です。
駅の職員は鉄道会社からの出向の管理者、駅専門の関連会社の正規社員と非正規社員です。なので、乗務員になるには乗務員登用試験に合格すると同時に鉄道本体への転籍試験にも合格しないと、成れません(鉄道本体者のみ列車取扱いや信号取扱いが出来るのが国の法律)。
なので、減った分の駅担当関連会社の非正規職員、正規職員の解雇は鉄道本体への転籍者を減らすので、新規採用の制限とで採用人数抑制になるのです。
と言うことで、駅廃止、乗務員の廃止が即解雇になるわけではありません。なので、人員削減が即時に社員数の減少に繋がるわけではありません。
電子広告や中吊り、壁張り、シール系式の広告は、鉄道の収益になる部分は少ないです。むしろ関連会社もありますが、多くは入り込んでいる広告会社の収益で、鉄道会社の収益には成らないです。
そして場所貸しの貸し賃の収益がかなり大きな収益になっている鉄道会社からすると、コロナで乗客数が減り大きな減収になっている現在、これで安定的な収益である広告収益が無くなることは企業存続にも繋がるので、無くすことは出来ないでしょう。
広告を出している企業も、最も大きな宣伝媒体を失うので、認めないでしょう。電子広告(車内に設置したモニター表示の広告)のみにする計画だったE235系の車内広告が、中吊りなどの張り出し広告も同時掲載になった大きな理由が、これまで出してきた企業から刻々と変化する電子広告では、長く密透けることで購入意欲が湧く広告からの収益が減るので辞めて欲しいというクレームからでした。