潜水艦の潜航中の乗組員が吸う空気についての質問です。
潜水艦の潜航中の乗組員が吸う空気についての質問です。 原子力潜水艦は原子力による推進なので、いくらでも長期間潜航できるという原理はわかります。あるいは、海上自衛隊の潜水艦においても、潜航中は、スターリングエンジンを併用したり、またそうりゅう型11番艦からはリチュウムイオン電池により動くことにより、そうとう長く潜れるようになったようです。しかし、潜航中の動力の問題は解決しても、乗組員が呼吸する艦内の空気の量には限度があると思います。それをどのようにして解決しているのでしょうか。教えてください。よろしくお願いいたします。
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ベストアンサー
【ディーゼル潜水艦】 ディーゼル潜水艦は比較的頻繁に海面近くまで浮上(これを潜望鏡深度と言います)しては、シュノーケルという管を海面上に出して、ディーゼルエンジンを始動します。新鮮な空気を艦内に吸い込んで、ディーゼルエンジンに吸気させると同時に、艦内の空気を端から艦外へ排気しながら新鮮な空気で換気します。ディーゼルエンジンの排気は船体(普通は上甲板を兼ねる整流板下のワキなど)から押し出します。10mほどの浅い海中ですのでたいした圧力ではありません。 ディーゼルエンジンで発電しバッテリーに充電しながら、必要なら海面近くの水中を航行します。この間はバッテリー残量を気にせず艦内装置が使えます。ちなみに、シュノーケルにはレーダーや他のアンテナが付いているのが普通です。シュノーケルを上げる直前か同時に潜望鏡で海面上を精査するのは当然ですね。 ≪艦内空調≫ 酸素は薬剤(過酸化水素水+二酸化マンガン)でも発生可能で、積んでいる艦もあるようですが、非常時用だと思われます。 酸素よりも生存に重大な影響を持つのが二酸化炭素です。戦争映画などの潜水艦のシーンでは「酸素不足」を描くのが定番ですが、実際には酸素の欠乏よりもヒトが吐き出す二酸化炭素が問題です。CO2が艦内に充満し3~4%で頭痛やめまいなどの中毒症状を呈し、中枢神経が機能不全となり精神錯乱や嘔吐などを経て7%で失神し、やがて死に至ります。 そのために、二酸化炭素を吸収する薬剤が空調機に備えられ、常に艦内の空気を循環させて二酸化炭素を除かなければなりません。これと艦内の暖房に意外と電力が食われます。聞くところによれば、海自の艦では非常時用に二酸化炭素吸収剤を直接、床に蒔けるように搭載しているそうです。他国でも同じかもしれません。 潜望鏡深度でのシュノーケルによる換気後に、半日からギリギリ数日で再び海面近くまで浮上してシュノーケルで艦内に空気を入れるそうです。 だから、ディーゼル潜水艦は比較的頻繁に海面近くまで浮上する訳です。 ディーゼル潜水艦のネックの1つが空調機の消費電力にあります。バッテリー消費を抑えるために航走せずに水中に漂うなり海底に沈底するなりしていても、空調機は電力を消費します。暖かい海ならマシでしょうが、寒い海中だと艦内暖房に大電力を必要とします。電力消費と騒音源でもある空調システムは、ディーゼル潜水艦にとって頭の痛い問題のようです。 【原子力潜水艦】 原子炉の熱でタービンを回し、推進と発電を行います。 ≪艦内空調≫ プロトン交換膜電解方式で酸素を作ります。そのために、ある程度の清水をタンクに収めて搭載していると想像します。海水を脱塩するには相応の手間が掛かります。海水を脱塩しても塩分を抜け切るのは幾度も減圧ボイラーで脱気精製する必要がありますから、水上船では風呂やトイレの水は海水を脱塩して作りますが、飲み水は港で積み込みます。塩水を電解すると塩素と苛性ソーダが生じます。塩素ガスを艦内に送るトラブルは避けたいでしょう。清水を使い尽くせば海水を脱塩して使うかもしれません。 二酸化炭素はディーゼル潜と同様に、空調機の一部に二酸化炭素除去装置(CO2スクラバー)があります。アミンを収めた2つのユニットを交互に使用し、片方が艦内の二酸化炭素を吸収している間にもう片方が電気で加熱されて二酸化炭素を吐き出して再生され、そのガスは海中へ捨てられます。 ちなみに、電解で出る水素も艦外に捨てます。
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質問者からのお礼コメント
ありがとうございました。自衛隊はまじめで責任感旺盛な日本人の軍隊なのできっと期待に応えてくれると思います。
お礼日時:1/22 11:56