1 . 温暖化の影響
2 . 稚鮎種苗の多様化
1 . について
競争に勝って良い苔のついた石を
ナワバリにした闘争心の強いアユは
良い苔をたくさん食べて早く大きく
成長します。成熟も早めで早い時期に
産卵行動をします。生まれた稚アユは
海へ降って翌春の遡上まで過ごす
のですが温暖化の影響で遅くまで
海の水温が稚アユの適水温よりも
高すぎて死滅してしまう傾向が見られ
ます。
一方 競争に負けて良い苔のついた石を
なかなかナワバリにできず仕方なく
群れアユとして過ごすアユは成長も遅く
産卵行動も遅くなります。生まれた
稚アユが海に降る頃は昔ながらの
適水温で無事に翌春の遡上まで海で
過ごしますがやはり遅生まれなので
成長も遅く遡上も遅く上流までたどり着く
頃には良い苔のついた石は空きが
ありません。やっぱり成長も遅いのですが
子孫は海の適水温のおかげで生き残ります。
こうして強い闘争心を持つアユの子孫は
皮肉なことに継代できずに弱い群れアユ
の子孫が代を重ねてアユ釣りシーズンの
河川は平和な争いの少ない時代へと
変化してきてしまっています。
ひと昔前は夏場に気温が30℃を超えて
32~33℃くらいだと「今日は暑いね。」
などと言ってましたが近年は頻繁に
人間の体温を超えてきますから初秋の
海も激熱でアユの稚魚にも大変 厳しい
状況となってしまっています。
天然遡上主体の河川のアユの小型化や
最盛期がお盆以降の初秋にズレこむ
などの傾向も見られています。
2 . について
以前は稚鮎放流種苗は琵琶湖産が
ほとんどでした。琵琶湖産は闘争心
が強くナワバリ意識も強く追いが
良いのが特徴です。
近年は各河川でしばしばアユが
冷水病が流行してたくさん死んで
しまう事例が発生しています。
琵琶湖産は冷水病に比較的に弱い
という傾向があり 各河川の漁協は
冷水病対策として琵琶湖産一辺倒から
さまざまな種苗へとシフトしています。
人口産(○○ダム湖産F1~継代など)や
海産汲み上げなどいろいろです。
このいろいろな稚鮎種苗が琵琶湖産
ほどの闘争心が無い場合が多いと
いうのが各漁協や釣り人を悩ませる
ことになっています。
琵琶湖産へ回帰したり 琵琶湖産を
加温処理して冷水病への耐性を高め
たり各種をMIXして放流したりなどの
工夫がされています。