古典 漢文の質問です。 ①彼非敵也。(彼敵に非ざるなり。)
古典 漢文の質問です。 ①彼非敵也。(彼敵に非ざるなり。) ②君之使不可殺之。(君の使ひは之を殺すべからず。) 書き下し文に直した時に、なぜ①は主語の「彼」の下に「は」が付かなくて、②は主語の「君の使ひ」の下に「は」がついているのでしょうか。漢文で主語の下に助詞(?)の「は」をつける時とつけない時があるのはなぜなのでしょうか。
ベストアンサー
②君之使不可殺之。 まず「君之使」は主語ではありません。 この文の意味は「君主の使者を殺すことはできない」です。 「君之使」=「之」でしょう。 「之」を「君之使」で置き換えれば 「不可殺君之使」(君の使いを殺すべからず)です。 漢文では、「不可殺」の後ろは何もないか、 「不可殺之」がほとんどで 「不可殺君之使」のような形はあまり見かけませんが、 意味的にはこういうことです。 この文から、「殺」の目的語である「君之使」を 強調するために前に出し、 その代わりに「殺」の形式的な目的語として 指示代名詞の「之」を置いています。 倒置の一種です。 ですから、そもそも「君之使」は主語ではないので ①彼非敵也。と比較するのは不適当ということです。 もとの漢文が「君之使」を前に出して強調しているので、 書き下し文も「君の使いは」と「は」を入れて 強調して読んでいます。 この「は」は主語をあらわすのではなく、 「君の使いについて言うと、これは殺すことが出来ない」 というような意味での「は」です。 先の回答者さんが、そのことについて説明しておられます。 「動詞+目的語」が「目的語+動詞+之」と統治され、 「目的語=之」となっているタイプの文は 「目的語は之を動詞」と「は」をつけて書き下します。 倒置法は「目的語+之+動詞」というパターンもあります。 このパターンは「目的語を之(これ)動詞」と読みます。 例えば「身不善之患」「(身の不善を之(これ)患(うれ)ふ」 倒置する前の文は「患身之不善」「身の不善を患ふ」です。 このパターンは、「身の不善は」ではなく「身の不善を」です。 もし「君之使」が主語だったら書き下し文は 「君の使い 之を殺すべからず」となって、 格助詞の「は」はつけません。 意味は「君主の使いは、これをころせない」になります。 指示代名詞「之=これ」は、 この一文では何を指しているのかわかりません。 「君之使」が、主語なのか倒置された目的語なのかは、 文脈から判断しますが、 受験レベルでは、ほぼ送り仮名があるので、 それで簡単に判断できるでしょう。 書き下し文では、基本的には主語に格助詞の「は」は付けませんが、 付けても付けなくてもいい場合もあったり、 この場合は普通付けるようなという場合もあったりで、 普段、あまり意識せず、けっこうフィーリングでやってるので、 付ける場合、付けない場合を網羅的に こうだと説明するのは難しいです。
質問者からのお礼コメント
すごく丁寧に回答してくださり、ありがとうございました。理解できました。
お礼日時:5/19 17:48