まず、「重要」と「大切・大事」に分けましょう。
「大切・大事」の2つは、学習者が相当上級でなければ
「どちらもでもほとんど違いはない」でOKですが、
「重要」は明らかな違いがあります。
「重要」は、主に事象(ことがら)や、概念(考え方、アイディアなど)
について使います。
また、情緒的にではなく、客観的価値や社会通念、
ある場面の共通認識として「大事・大切」であるときに
使うのが「重要」です。
(例・「重要参考人」「重要文化財」など)
「重要」は、「重要な」というナ形容詞としても使いますが、
「大切・大事」にくらべて「重要」という名詞としての独立度が
高いので、「重要××(名詞)」という使い方ができます。
このような用法は「大切・大事」にはありません。
「大切・大事」と「重要」の使い分けの例としては・・・
「大切な・大事なアルバム」
=個人の情緒的な価値観によって判断されることで、
その人にとって愛着がある、ずっと持っていたい、という気持ちを
表わします。こういう意味で「重要な」は使いません。
「重要なアルバム」
=例えば、何かの事件の証拠として、大きな意味がある、とか
とか、ある歴史上の人物の研究資料として貴重である、といった
「個人的・情緒的」なものではない、客観的な存在意義を表わします。
ただし、これと同じことを、より柔らかい、口語的表現で
「大事なアルバム」ということもあります。(「大切な」は使えません)
・・・・・・
「大切」と「大事」については、
あえて違う点をあげるなら、
「大切」は、心情的、個人的に価値があると思うこと、
「大事」は、客観的重要性があると思うこと、と使い分ける場合も
ある、というところでしょう。
つまり、「大事」のほうが「重要」寄りであり、
「重要」のやわらかい表現、より口語的表現としても
使う、ということになります。
例・・・
役所から来た、重要な通知のハガキは「大事なハガキ」。
初恋の人からもらった、暑中見舞いのハガキは「大切なハガキ」。
(この場合、「重要な」は使いません)
・・・以上の「大事・大切」は、どちらを使ってもまちがいではありませんが、
どちらかといえば、このほうがいい、という程度のちがいです。