なぜ「犯罪を犯す」という言葉は正しいのでしょうか?

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ここで悩んでしまうのも、俗に言う重言狩りの悪影響ですね。 挙式、被災、などの場合、「挙式する」で式を挙げる、「被災する」で災いを被る、という意味を成しますので、「挙式を挙げる」「被災を被る」というのは必要のない同義の述語を重ねるために不自然な表現になります。これをよく重言だから間違いだ、と言う方が多いです。 ところが、犯罪、被害、などの言葉は、動作を意味する語句の類ですが「犯罪する」「被害する」という言い方はしません。だから「犯罪を犯す」「被害を被る」という言い方を普通にします。 でも、なぜそうなのか、ピンとこないかもしれません。 これは「被災」と「被害」で比べてみるとわかりやすいのですが、~する、と助動詞「する」をつけてサ変動詞化できる名詞は、対象者にそのことが作用することを強く意味する字義があります。「被災する」とは、能動の形の「する」がつくのに、受動の動作を意味し「被る」という字義が強い言葉なんです。 でも、「被害する」が不自然に聞こえるのは、もともと使わない言葉で聞きなれないのもありますが、被害という言葉が、被る動作のことより、その害を意味する方が強いため、でもあります。 台風が被害を与えた、とは言いますが、台風が被災を与えた、というと不自然になるのも、被災という語句が「被る」という意味が強いためでしょう。 同じように、犯罪、という言葉も、字義は罪を犯すこと、といえますが、犯す行為より、罪という「事」を意味する方が強い言葉です。そして、罪と犯罪の最大の差は、法律に規定された罪、というニュアンスです。 言い方を変えれば、「犯罪」は「罪を犯すこと」という意味ではなく「法律を『犯す』行為としての『罪』」という字義、と考えるべきでしょう。 一見、「犯す」+「罪」のように、「動作」+「事」という漢字を接続する名詞は多いですが、すべてが同じ字義、意味関連としての構造を持つわけではなく、例えば「サ変動詞化できるものとできないもの」というように性質は異なるものが内包されます。 これをすべて「重言だから日本語として間違い」というのは、非常に乱暴な考え方、風潮だと思います。 『犯罪する、とは言えないから、しかたなく「犯罪を犯す」と言う』という考え方も、その前に「本来、重言は間違った日本語だが~」という概念がありそうですが、そういう考え方がおかしいのではないか、と思います。 言語ルールが言語を支配するのではなく、言語にルールが見出せるだけなんです。少なくとも現在は「犯罪」という行為をする、の「する」に相応しい言葉の中に「犯す」はちゃんと存在します。 だから「犯罪を行なう」「犯罪を為す」などと同等に「犯罪を犯す」も正しい日本語です。同じ漢字が重なっても、それを重言とは呼びませんし、重言は全部間違い、でもないんです。

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犯罪というのは法学の専門用語なので、罪を犯すと犯罪を犯すとでは文意が異なります。犯罪するという言い方もないので、やむを得ず犯罪を犯すというのです。