長男
「光央どうなの?」
光央
「何が?」
長男
「オンナ」
「彼女が出来たんだって」
光央
「8月7日か」
長男
「付き合ったばっかりじゃん」
「8月の7日とかちゃんと覚えとくの?」
光央
「覚えてるよ」
長男
「オレ洋子(妻)といつ付き合ったとか覚えてねぇよ」
光央
「覚えてねぇの?」
「じゃあ、初めてチューした日と
初めて手をつないだ日って覚えてる?」
長男
「そんなのわかんねぇよ」
光央
「あ、そうだよね
やっぱそうだよね」
「こういう男が居るから
夫婦仲ってダメになんだよ」
「付き合ってた時と子供が生まれた時の
女の扱いが変わるタイプだよ」
「女は子供産んでも いつでも女なんだよ」
長男
「何言ってんのオマエ」
光央
「そこをマジで忘れないで欲しい」
長男
「オマエ結婚した事がないからわかんないんだよ」
光央
「そうなってしまうって事は
実感してるからそう言うって事じゃない」
「何か原因があるっていうのを
自分でわかってるって事じゃん」
長男
「オマエのその理論調のしゃべり方がたまに腹立つ」
「そんな理屈じゃねぇだろ」
ナレーション
『彼女が出来たことを責めているんじゃありません』
『話はいよいよ本題へ』
長男
「現状として
オマエは安定した生活送れんのって」
光央
「今 現状は難しい」
長男
「いいんだよオレ
仕事がどうとかは どうでもよくて」
「〝ヤバイんだよ〟みたいな事にはなってなくて
〝普通にちゃんと生活できてますよ〟
ってのが聞きたいわけだよ」
光央
「今は結構シビアよ」
「あそこまで大見栄きってやったからには
結果は出さないことには…」
長男
「っていう見栄があるじゃん」
光央
「絶対あるよ そりゃ」
長男
「見栄で飯食えないから」
光央
「そりゃそうだ」
長男
「だからさ 見栄で
自分のメンツで…」
光央
「だから…う~ん 一応考えてるよそのへんも…」
ナレーション
『結論が出るわけではないんです』
『こうして語り合う時間が大切なんだなぁ
支払はもちろん孝之くん(長男)』
『なんだかー 最近の孝之くんはどんどんお父ちゃんに似てきますねぇ』