本当のことは専門家ですら分かっていないことをご理解されたようで、話は早いと思います。 ならば、南海トラフの地震が30年以内に70％程度の確率で起こるは何を根拠にそう言われているか、から話は始まります。高知大学教授は2035年を中心としたその前後だと思います。それは室戸岬の隆起量と、地震の間隔が比例関係にあるとする時間予測モデルの仮説が根拠となっています。 http://sc1.cc.kochi-u.ac.jp/~mako-ok/nankaia/time/time.html 地震調査研究推進本部による長期評価（30年以内に70％程度）もこの仮説を採用して、chachallllさんが紹介しているようなBPT分布という統計学的な計算から算出しています。 しかし、時間予測モデルはあくまで仮説であって、高々100年そこそこの地球物理学現象からすれば一瞬でしかないわずかなデータと、あとは江戸時代の古文書から推定された数値がもとになっているため、たった2点のデータでいったい何が言えるのでしょうか。このモデル自体が非常に危いものです。 別の仮説からは、南海トラフの地震は本当は200年程度の再来間隔だとか、次回は22世紀以降ではないかと言う専門家もいます。 その辺を詳しくまとめました。 http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n294292 このように、様々な仮説があって、最も早く起るという時間予測モデルでも数年以内に起る確率は10％内外、別の仮説に基づけばもっと低くなります。しかし数年以内に起る確率も０ではありません。 また、2011年東北地方太平洋沖地震や今回の小笠原深発地震は南海トラフの地震の発生を後押ししたのか、それともむしろ起りにくくしたのかさえ分かってません。防災上は安全側に倒して、起りやすくなったと考えて備えるべきでしょうが。 知恵袋でも南海トラフ地震だの富士山噴火だのに期待している人は非常に多いように思いますが、残念なお知らせをすると、どちらも皆さまが生きているうちには起こらない可能性、つまり体験できない可能性の方が高いかもしれません。もちろん可能性は0ではありません。 また、今回の小笠原沖の地震から言えることは、従来巨大地震は起りにくいと思われていた場所でも巨大地震が起ることが証明されてしまったことです。これまで一般には南海トラフの地震と考えられていた1605年慶長地震は伊豆小笠原海溝沿いで起こったものでは無いかとする説が2年前に出されています。今回の小笠原深発地震はその可能性を裏付けるものでしょう。 つまり、南海トラフ巨大地震そのものは起こらなくても、別の震源の地震によって東海道や南海道の沿岸は大津波に襲われる可能性があるということです。むしろこの方が、たとえ強い揺れが無くとも大津波が来るのだから、南海トラフ巨大地震に対して備えていた人々に取っては不意打ちともなるのです。それこそ「想定外」にならないように、あらゆる可能性を鑑みた対策、備えが必要なのではないでしょうか。 また、起る、起ると言われながら仮に100年以上起らなかったとしたら・・・ ・・・それこそ問題なのです。 現代の日本人は「東日本大震災」の惨状を良く知っています。 しかし、もはや4年も経過しました。「阪神淡路大震災」を知らない世代も成人式を迎えました。 いま「明治三陸津波」を知っている人はどれだけいますか？ ましてや江戸時代の「宝永地震」など日本史の教科書にさえ載っていません。 「貞観地震」など神話の世界でした。 100年、200年が経過すれば「東日本大震災」も何れそうなります。最早リアルタイムであの大津波を記憶している世代はこの世にはいません。 今建設ラッシュの鉄筋コンクリートの防潮堤も耐用年数を過ぎているでしょう。 耐震化された建物も同様です。 津波避難タワー、さび付いて「危険、立入禁止」になっているかもしれません。 そうなったときに、「南海トラフ巨大地震」は襲ってきます。 想像できますか？子孫にどうやって「東日本大震災」の惨状を伝えますか？