「美味しんぼ」の原作者である雁屋哲氏が重度の反日運動家なんですよ。
作画を担当している花咲あきら氏は多少の影響は受けているのでしょうが別にそれほどの問題のある人ではありません。
現在ビッグコミックスピリッツで花咲あきら氏が発表している「のぼうの城」は、時代劇脚本家でもある小説家和田竜氏の作品を漫画化したもので小田原北条征伐が舞台です。
よほど曲解した内容にしようとしない限り媚韓的な作品にはならないでしょう。
サヨク運動家は得てして独善的なタイプが多いですが、雁屋哲氏は徹底した独善家だと言えます。
大抵の人は自分の正義に疑問を持つモノです。ネット右翼なども売り言葉に買い言葉で「日韓併合は朝鮮人が望んだことだ!」などと極端な主張をすることがありますが、それはあくまで知識人の一部でしかなかった、自分達に不利な史料も存在している、ということは分かっているものです。
ところがこの人物は全くそういった傾向がありません。パソコンなどもマック至上主義で「ウィンドウズの使う奴はマゾヒストだ」とまで罵倒しています。
彼の書いたエッセイ集に「美味しんぼ塾」という物がありますがその中に興味深いエピソードがあります。
彼は子供の頃、親戚のお姉さんにイナゴ料理を食べさせたという話なのですが、その少女は病的なほどの虫嫌いでそんな物は見るのもイヤだというタイプだったらしいのです。
雁屋氏はその少女を騙し、エビ料理と偽って食べさせ美味しいと舌鼓を打った後にそれを明かして笑いものにしたというのです。
その女性は今でも雁屋氏を許しておらず嫌い続けているのだとか。
私は別にそのこと自体を非難しようとは思いません。子供とは残酷な物ですし私自身それに勝るとも劣らぬような愚かな記憶が幾つかあります。若気の至りとは恥ずかしい物です。
ですが問題なのは、雁屋氏はこのエピソードを恥ずかしい事だとは全く思っていないと云うことです。
彼は未だに彼女が何を怒ったのか分からないと記述しており、むしろ彼女の狭了な態度を軽蔑すらしています。
彼女に虫料理の美味しさを教えてやった事は正しいことであり、それを認められない彼女は愚かしいと見ているのです。
そして考えてみると「美味しんぼ」の中にはその手のエピソードが幾つか混入されています。
捕鯨に反対するアメリカ人噺家が「鯨料理なんて美味しいはずがない」という主張をしたところ、彼を騙して鯨料理を食べさせ美味しがったところを正体を明かしてどん底に突き落とすという話があります。
またゲテモノ料理を食べたいという性悪の地上げ屋に対し、宗教上の禁忌だということを承知の上で蛇料理や猿料理、そして猫料理を食べさせ祟りに恐れおののく地上げ屋を笑いものにするという話もあるのです。
ベトナムで孵化直前の卵をゆで卵にしたホビロンという卵料理をどうしても食べられない上司に対し、「こういったベトナム料理を食べられないのは日本人にアジア人を軽蔑する差別感情があるからだ、ベトナム文化を尊重するなら食べられるはずだ」という脅迫で無理矢理食べさせるというエピソードもあります。
こうしてみると、たまたま相手を屈服さてせているから分からないけれど、考えてみれば人の心を無視した非常に独善的で傲慢なエピソードが「美味しんぼ」の中には随所に混在しているのです。
花咲あきら氏の穏和な絵柄はこの原作者の毒をかなり中和し面白い作品に仕上げている。これは花咲氏の才能なのでしょう。
彼が毒のない作品を担当すればどうなるのか?非常に興味深いところです。