簡単に言えば、
①雨水が地盤に浸み込んだ際に、地盤内の細かい粒子が洗い出されてしまいます。
そうすると、土の骨格がスカスカとまでは言いませんが、土を構成する土粒子同士の噛み合わせが悪くなります。
噛み合わせが悪くなると、土は変形し易い状態になりますので、斜面などでは崩壊し易い状態になります。
②忘れてならないのは、地盤に水が浸み込み飽和状態に近くなると、土に浮力が発生することです。
水の中で重い物が軽々と持ち上がるのは、この浮力が働いているためです。
浮力を発生させるのは、水の水圧に起因します。
話を戻し、地盤に雨水が浸み込んで飽和状態に近くなると、土を構成する土粒子同士に働く接触力(有効応力)が低下します。そうすると、土粒子同士の変形に対する抵抗力が低下しますので、少ない力で容易に崩れてしまう状態になります。
実際の斜面などでは、雨が降る前は元々地盤が持っていた抵抗力で安定を保っていたのに、雨水等が大量に浸み込むことで浮力を受け、抵抗力が低下してしまうと崩れてしまうことがあります。
尚、土の土粒子間の接触力が低下し外力に対する抵抗力が減少する現象は、専門的には有効応力の減少による土のせん断抵抗の減少と言います。
その他にも雨水が地盤を浸透することによる“水みち”の形成なども考えられますが、上記①、②などにより、雨水等が大量に地盤に浸み込むことで地盤が本来持っている抵抗力が低下します。
これが“地盤が緩む”という現象です。
以下は若干、専門用語で説明しますので、分かり難いかもしれませんが、参考になれば幸いです。
尚、地盤の液状化とは、地震動により地盤が繰り返し揺すられること(繰り返しせん断を受けること)で土の体積が収縮し、非排水条件下では過剰間隙水圧の上昇が発生することで、土のせん断抵抗が減少する現象です。特に有効応力が低下したことにより、土が破壊状態に極めて近い状態に達したとき、土を構成する土粒子間の接触が急激に失われ、大きな変形を生じます。この状態を“地盤の液状化”と呼びます。液状化とは、土粒子が水の中に浮いたような状態を示し、まるで液体状になることから、このように呼ばれております。
上記②で記した多量の雨水等の浸透による飽和状態における土粒子間の接触力(有効応力)が低下するという現象と液状化とは有効応力が低下するという点では同類ですが、それを引き起こす現象と度合いが全くことなることには注意が必要です。