著作権の制限規定である著作権法30条の２第1項が、付随対象著作物の利用について定めています。 これは米国著作権法107条のフェアユース、公正な利用の法理を参考にして2012年に新設された規定で(米国のものよりも大分範囲が狭いですが)、いわゆる映り込みについて定めたものです。 30条の2第1項本文は、撮影、録音、録画に際して、撮影等の対象物・対象音との分離が困難なために付随して撮影等の対象となってしまう事物や音について、著作権者が権利行使することを制限しています。 今回の映像は音楽が映り込んでいるので、本来ならば著作権法21条の複製権侵害に当たり、権利者による権利行使があり得ますが、この条文があるので複製になっても許されます。 また30条の2第1項但し書きは、付随対象物の種類等に照らして、不当な著作権者の利益侵害になる場合を例外としていますが、今回の前提であれば、音楽は不明瞭にしか聞こえないということですのでこれにも当たらないでしょう。