もちろん程度によりますが 肺気腫があるからと言って 手術ができないわけではありません。 肺癌手術の場合、術後の予測残存肺活量（その中でも重要なのが残存１秒量）が およそ800mLを割り込むようだと 日常生活に影響が出る可能性が高くなると言われ、 いわゆる在宅酸素などを要したり、 術後に人工呼吸器からの離脱が困難になったりします。 現在の肺活量（その中でも特に１秒量）がどの程度なのかは分かりませんが、 その数値によって手術できるか否かはかなり規定されます。 さてそれ以上に問題なのが、 どうやら腫瘤が２つあると言うことでしょうか。 この２つの影はいずれも肺癌を疑う物でしょうが、 それぞれが別のがんなのか、 一方が他方の転移なのか？ 前者で呼吸機能が保たれるのであれば 手術も可能かもしれませんが、 後者であれば、肺気腫の有無にかかわらず 手術適応がありません。 放射線や抗がん剤では根治は望めません。 できることなら手術が良いのですが 転移なのだと考えると手術は避けるべきです。 現在治療法も進歩し、抗がん剤で弱って弱って ヘロヘロになってしまうようなことはあまり見かけなくなりました。 いずれにせよ、重要なのは正確な現状把握、 そしてそれに基づいた治療方針の提示、 それらを総合したうえでの患者本人および家族の判断ということになります。 なるべく後で後悔しないように十分話し合い、 どのような決定になったとしても、 決まった以上はその治療に全力で取り組むべきだと思います。 そしてこれは医療従事者にも言えることだと思います。