目指しているベクトルが異なるので、日比谷対策のための本としてはかなり不適切かなぁと思っています。過去問を見てもらえば分かると思いますが、都立日比谷高校の数学は、関数や図形の分野で、最後まで辿り着くのがかなりたいへんな問題、パッと見て難しいけれども視点を変えればなんとか解くことの出来る問題(例えば2010年大問4の立体図形の問題など)を出題してくるのが特徴です。そういう意味で、力のある中学生はきちんと合格してくる点で、なかなかいい問題を出題してきているかと思います。
小問集合の大問1を全問解けることと、関数・図形分野で大問の問2の(1)あたりをきちんと解けるようになることが、まずは日比谷対策として必要になってきますね。
大問1については、基本対称式、整数の性質、不定方程式、円と角度の問題、確率の標準的な問題を確実に解けるようにすることです。これに関しては、未来を切り開く学力シリーズの『中学数学発展篇 確率・統計と総まとめ』の該当部分をやってもらえればよいかと。
大問2以降の関数・図形分野、ここにかなりの時間を割り当ててくださいね。同シリーズの『中学数学発展篇 入試実践』という本がよいかと思います。ただ、残念ながらこの本では、日比谷数学の大問の最後が解けるようにはなりません。しかし、日比谷高校の受験生を考えると、65点ぐらい解ければ十分かなぁと考えています。全部の問題が解けなくてもいいんですね。ということで、過去問演習をするときに、解答を見ながらどうやったらこの問題が解けるのだろうか、研究してみてくださいね。
あと、2011年入試は、学習指導要領変更の移行措置によって、二次方程式の解の公式を堂々と出題できるようになります(今まで日比谷高校はこっそりと高校数学を出題していたんですね)。これで、二次関数の交点を求める際に、平方根がらみの交点が出てくる可能性もあるかもね。
2学期後半は、他の都立高校の自校作成問題にどんどん挑戦してみてください。他の高校でも、例えば15°の三角形なんかはよく出題されますね。先生方が、自校作成の入試問題を作るのは結構たいへんなんですよ。他校の問題を見ながら、私たちだったらこういうふうに問題を作るのになぁと、他校の問題にケチつけながら問題を作っていきます。そのために、出題パターンもある程度固定してきたなぁと感じるところも出てきました。都立国立、都立戸山、都立西なんかの過去問はやってみる価値はあるかと思います。