“大きさ”より、もっと本質的なトコロで“イヌには頭が上がらない”のです。
ヒツジは、群れで生きる動物です。
野生では強いリーダーがいて、その他大勢が寄り集まっていますが、家畜の群れは“適度に強い(人間が管理しやすいものを選びます)”リーダーがいて、その他大勢がやたら多い。
いい言葉ではありませんが、烏合の衆というのがピッタリな群れです。
ヒツジは臆病な動物で、自分から前に進むのはものすごくイヤなくせに、誰かが進むと自分では足元も確かめずに付いて行ってしまうようなところがあります。
(なので、よくヤギと一緒に放牧します。ヤギは積極的に前に進んでいく性質がありますので場所を移動しながらまんべんなく食べさせることができます。)
さて、彼らは草食動物で、食物連鎖で言ったらその上になるものがいます。
イヌはその立場。
イヌの姿や声を聞くと、本能的に逃げようとします。
それでもヒツジは“みんなで一緒にいたい”ので、先頭になるヤツ(リーダー)の向きを定めてやればみんなくっついてきます。
指示を出す人と慣れた牧羊犬は、リーダーを見抜いてそれが求める方向に行くよう動きます。
牧羊犬は追い立てる以外に、群れが割れてしまわないよう(安心してリーダーについていけるよう)に、群れをまとめるように動きます。(もちろん分けたいときは分けるように動くことができます。)
通常イヌの姿だけで十分効果がありますが、吠えたり、場合によってはイヌはヒツジの足に噛みついて行く手をふさいだりします。
そんなとき、ヒツジも本能に従って攻撃します(これがヒツジの場合は頭突きですね)が、訓練されたイヌなら怪我をするようなことはありません。
というわけで、イヌの大きさより“イヌであること”そのものを利用した方法ですので、敢えて大きなイヌを使う必要はありません。
ヒツジの速度や放牧する土地の特質・イヌの運動性能や興味といったことを見極めて、牧羊犬として鍛え抜かれてきたのがコリー種やシェパードなどだった…ということです。
最近はペットをどこへでも一緒に連れて行くという人が増えてきました。
これでとっても困っているのが、動物園や乗馬クラブ。
“肉食獣”の気配に警戒して、一斉に動きがおかしくなってしまったり、急にダッシュして怪我をしたりする事故が増えています。
カゴに入っていたり、1kgもないような小さなワンコニャンコでもです。
本当に、動物って鋭いです。