売れないと思います。
日本人のデザイン観念は公式が決まっていまして、何せ畳と床の間文化が長かったので、「垂直&水平」が第一なんです。日本人は、ナナメに走るデザインを極端に敬遠します。つまり、あの演歌の聞こえてきそうなオヤジ仕様のクラウンにおける四角四面のデザイン。それが多くの日本人の共有する基本公式なのです。
かつてのアメ車的横広デザインは比較的肯定的に受け入れられやすかったですね。それ以上に憧れですらあった。いまでもあのでっかいシボレーバンの、ややもすると間延びしてしまうバン顔を、ライトとグリルを水平基調の二段重ねフロントマスクにすることで、みごとにバン顔を精悍なものに演出するのに成功しました。デザイン特許モノですね。今なお若い層にまでお手本です。これは完全におせち料理の重箱デザインと偶然に共通したわけですね。そこに日本人が回帰しやすい母のぬくもりを感じるのでしょうね。
新幹線は日本人らしくなく、先頭車両は航空機を思わせる流線型です。しかし、空力のために仕方なく曲線を許したものの、やはりそのままでは許しがたかったのか、雨とい下と窓枠と腰もとに合計3本、ずばーっと横一直線に紺色の横帯をペイントして水平ラインを出し、視覚的に安定感を求めたのです。畳のふち取りの概念ですね。これとは対照的にヨーロッパの車両や旅客機は、特にこだわり無く塗装されていますよね。
関係ないですけれど、宇多田ヒカルの楽曲はかなりオヤジ臭いド演歌音階です。演歌や民謡には興味を示さないはずの層に宇多田は絶大な人気がある。これも公式がありまして、「四七抜き(ドレミソラだけでファ、シが無い)」といわれる日本民謡の音階で創られているから、日本人のDNAに響くと言うワケ。ちなみに沖縄民謡は、「ドミファソシ(レ、ラが無い)」でできていまして、これも興味深いところです。
ですからベンツやワーゲンバンは受け入れられても、フランス車ではルノーはいけるがシトロエンC4ピカソは無理。ミツオカオロチ同様まず日本人社会に肯定的に受け入れられることはないでしょう。