都道府県庁や各市町村役場には「遺物包蔵地分布図」や「遺跡分布図」というものがあります。
これらにかかる部分に開発が重なると、その建設申請時に試掘調査(遺構が明確にあれば本調査となる)を実施するか役所が判断します。
ですので、これらの図に載っていない部分を勝手に開発・削平すると、文化財保護法以外の法に抵触(此方は罰則あり)します。
まずココが前提です。
…しかし、この地図も完全でない場合があり、偶然遺構・遺物が見つかるケースもあります。
また区域を故意に小さく設定して、開発自体を若干広げてしまうケースなどもあって、一概に上記申請が機能していないこともあります。
知人の実家は建設会社でしたが、ご質問にある「闇に葬られた事例」も時々あった(30年以上前)ようです。
他方で、文化財保護法では罰則規定がないので、不法に遺跡を破壊したり報告義務の懈怠をしても処罰はされません。
※宮内庁管轄などの国有地を不法に掘り返した場合は別途処罰を受ける。
ご質問の内容から答えれば「文化財保護法違反だが罰則が無いので処罰されない」となります。
…しかしながら、役所にはこのような不法行為に対するペナルティ措置を設けることができます。
所謂「D・E評価=次回以降の入札○年間出入り禁止」などの措置です。
こうなると、業者側もそう簡単に調査なしで掘り返せなくなります。
ですので、行政処分はなくとも別で困るケースが多いので、大抵は開発者負担という格好で発掘を行います。
ただこの「開発者負担」という制度が疲労しているのも事実で、既出回答にあるような破壊がなされてしまうケースも出ています。
そして…遺跡全体を保存するには莫大な費用がかかります。
昔のヒトも「住みよい場所」を選ぶので、現在の住宅地と重なっているケースが非常に多いのです。
そうなると、遺跡保存すれば現在の居住地がかなり減る(経費も掛かる)だけでなく、現実的ではありません。
開発者負担→発掘(で調査記録を保存)というのも、理想からすれば程遠いものの、現状からすれば止むを得ない手法だろうと考えます。