福島県で農作物への放射性物質の影響について試験研究を行っている者です。 カリウムが不足している田畑では、カリウムを与えるほど放射性セシウムの吸収は確かに減ります。 ただし、もともとカリウムが十分にある畑では、カリウムを余計に与えてもほとんど効果がありません。逆に入れ過ぎた場合は、マグネシウムなどの吸収を阻害してしまう（拮抗作用といいます）ので注意が必要です。カリウムが足りない田畑でのみ使える方法なのです。 （専門的に言えば、土壌中の交換性カリウムの量が25～30mg/100g以上だと効果がありません） チェルノブイリ近辺は土地がやせていて、あまりカリウムを含んでいない土壌だったので、カリウム肥料の投与は非常に効果がありました。 一方、日本の場合、水田はカリウムが比較的少なく、畑はカリウムが過剰である傾向があります。もともと腐植質が多いうえに、毎年同じ畑に堆肥や肥料を与え続けているので、カリウムがたまりやすいのです。特に堆肥はカリウムが豊富ですので、有機栽培で十分に堆肥を入れている畑はカリウム過剰である可能性が高いです。 できればＪＡや普及所などで土壌分析をしてもらって、交換性カリウムの量を計測したほうがいいのですが、無理であれば、通常施用するカリウム量の倍程度にとどめておいたほうが無難です。 なお、indokensumiさんが言われているとおり、カリウムは植物の必須元素ですので、適量を施さないと欠乏症や過剰障害を起こします。 ご参考まで。