外部の人に対して丁寧に話さねばという意識から、「おかわりします」という表現になったと思われますが、これは誤用です。 【解説】 「Aにかわります」を元の形とすれば、謙譲語Ⅰの形式「お（ご）～する」に落とし込んで「おかわりする」という表現になります。謙譲語(Ⅰ)の本質は、動作（かわる）の向かう先（「補語」と言い換えることができます）を高めることにあります。そのために自分側を低めるのです。この文では高める補語が上司のAになってしまいますから、いわゆる身内への敬語になり「身内を高めてはいけない」という日本語敬語の大原則に抵触するため誤用となります。「ご飯のおかわり」とは関係ありませんので念の為。 （なお、謙譲語Ⅰと数字を付けてあるのは、最近の敬語分類では謙譲語をⅠとⅡに分けるのでそれにならったものです） 【余談】 以上で一件落着としていいのですが、ここで頭の体操をしてみると「担当者におつなぎします」はどうでしょうか？上司ではないかもしれないが身内には違いありません。①の理屈から言えばこれも誤用になるはずですが、個人的には違和感がないような気がします。これは「つなぐ」という動作の「向かう先」が、社内の担当者ではなく電話をかけてきた人ともとれるため、許容されるのかと考えているのですが、まだ断定しかねています。とりあえずこんなところで。